Ryoko Tasaki
2024年1月12日

世界マーケティング短信:AIの台頭と人員削減

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

世界マーケティング短信:AIの台頭と人員削減

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。

グーグル、広告営業部門の再編で人員削減の懸念

グーグル(Google)が、3万人規模の広告営業部門の再編を計画していると、テクノロジー系ニュースサイト「ザ・インフォメーション(The Information)」が12月に報じた。米州の広告販売を統括するショーン・ダウニー氏が、先月の会議で部門再編について述べたとされるが、人員削減を伴うかについては明らかにされていない。同社は昨年、全世界で1万2千人と過去最大規模の大量レイオフを実施している。

報道によると、AIがグーグルの経営に大きな変化をもたらし、これが人員削減につながった可能性がある。同社では業務効率化のため、ウェブサイトのスキャンや、キーワードの自動生成、見出しや画像の作成などといった作業に、AIを活用することを目指している。

デュオリンゴの契約社員解雇、元社員はAIの影響と主張

語学アプリ「デュオリンゴ(Duolingo)」が、1割の契約社員を解雇した。同社に5年勤務した元社員が12月に投稿サイト「レディット(Reddit)」に書き込み、今月に入ってゲームメディア「デクセルト(Dexerto)」が報じた。翻訳などの業務がAIに取って代わられ、4人チームのうち2人が解雇となり、残り2人がAI翻訳の品質チェックのために残ったと元社員は主張する。

デュオリンゴのCMOであるエマニュエル・オルソー氏はCampaign USの取材に対し、契約社員の1割が年末で期間終了となったが、解雇は「AIの使用とは直接関係ない」と述べた。そして社員をAIソフトウェアに置き換えるというのは「デュオリンゴが望むやり方ではない」と付け加えた。

「私たちはAIを、人間の代わりだとは考えていません。AIは私たちの仕事を加速するのに役立つツールだととらえています」とオルソー氏。「AIはベースラインとなるコンテンツを提供してくれます。不完全なコンテンツですが時間を節約でき、その後は人間が精度を高めて最適化し、向上させていくのです」。同社ではこれまでも会話練習や解説にAIを活用してきた。

グーグル、サードパーティCookie制限を開始

グーグルが今年の年末までにサードパーティCookieを廃止する目標に向け、今月からクロスサイトでのトラッキングを制限する「トラッキング保護」機能のテストを開始した。対象となるのはChromeユーザの1%で、段階的に拡大していく。

アップル「The Greatest」がエミー賞を受賞

アップル(Apple)が製品のアクセシビリティを訴求した動画「The Greatest」が、米国テレビ界最高峰といわれるエミー賞でコマーシャル部門の最優秀賞を受賞した。

12月3日の国際障害者デーに合わせて2022年に公開された動画には、障害者が同社製品のアクセシビリティ機能を活用し、人生を楽しむ様子が描かれる。昨年6月のカンヌライオンズでも、Entertainment Lions for Music部門のグランプリを獲得している。

エミー賞は当初9月に予定されていたが、全米脚本家組合(WGA)や全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)によるストライキの影響で、開催が4カ月延期された。

 (文:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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