5月1日の改元に先立ち、このたび新元号「令和」が発表された。
元号の選定は、決して簡単なタスクではない。新元号をめぐっては、政府はこれまで長い時間をかけて準備を行い、その間メディアの報道も過熱していた。
改元に伴い、企業はシステムや文書に使用されている元号の変更を迫られる。改元より1カ月も前に発表されたのも、企業の対応期間を考慮したためといわれている。
アドビシステムズ日本法人のマーケティング本部副社長、秋田夏実氏はCampaignの取材に応じた2月に、今回の改元は同社のコンテンツ管理サービスを訴求する好機ととらえていると語っていた。コンテンツをさまざまなベンダーが管理していたり、紙ベースでしか管理していない組織もあるためだ。
「平成と記されている書類を探し出すため、タスクフォースチームを結成した会社もあるようです」
一方で、国内外からの関心が集まるこの波にうまく乗ろうとするブランドもあった。例えばシャープは新元号の発表前、これまでS(昭和)、H(平成)と続いたので次はAを頭文字とする元号を期待しているとツイート。発表後には即座に、予想とは少し異なってRであったことを書き込んだ。せっかくなので社名を「SHRAP」に
変えてはどうか、というフォロワーからのコメントも見られた。
ローソンのツイッターアカウントは、5月1日にローソン限定で「新元号最初の日」の特別なポテトチップスを発売することを発表。また株式市場では、新元号から連想される社名や、万葉集が売れるのではとの期待感から書店チェーンの株価にも変化が見られた。
さらには豪州の団体「西オーストラリア州不動産協会」(The Real Estate Institute of Western Australia)も、偶然にも新元号が同団体略称「REIWA」と一致することから、「エイプリルフールのジョークではない」とした上で、新元号を歓迎する旨をツイート。REIWAのツイッターアカウントを訪れた7割が日本からのものだったとも明かした。
平和や希望といった願いが込められた新元号を、多くの人々が喜びとともに受け入れたようだ。住友生命保険が先週発表した平成を表す漢字1文字を問うアンケート結果では、21%の人が「災」と答え、「変」「乱」といったネガティブな字が続いていた。
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:田崎亮子)