天皇崩御による元号変更とは異なり、生前退位に伴う今回の新元号発表は明るいお祭り騒ぎのようだ。この波に乗ろうと、この1カ月間でさまざまな商品やサービスが発表された。
まず新元号発表のわずか1時間後に、令和ラベルの限定版コカ・コーラ2,000本が新橋駅前で配られた。印刷現場にデザイナーがスタンバイし、その場でデザインから印刷、裁断までをスピーディーに済ませ、バイク便で新橋駅前に運ばれたという。当日の様子は同社サイトからも見ることができる。
タカラトミーのボードゲーム「人生ゲーム」も、発表3時間後に「令和版」を用意し、渋谷のイベントで抽選100名にプレゼント(発売は6月を予定)。より多くの紙幣獲得を目指すものだった平成版までのゲームと異なり、インフルエンサー獲得を目指すという、時代を反映した内容に変わっている。この日はエイプリルフールでもあったため、同社は各都道府県にまつわるネタも数々投稿し、一日を通してユーザーを楽しませていた。
アーティストで「仕事が早すぎる」と話題になったのが、ゴールデンボンバーだ。新元号発表の2時間後に新曲「令和」を発表したのだ。元号発表予定時刻の少し前から生配信も実施し、動画製作の様子も公開。なおこの楽曲は、泣いている赤ちゃんに聴かせると泣き止むとの噂も拡散中で、試してみたら実際に泣き止んだというエピソードが公式アカウントに寄せられている(そして公式アカウントでも検証した様子が動画に収められている)。
着眼点が面白いと話題になっているのが、岐阜県関市平成(へなり)地区の平成川にかかる「元号橋」付近の空気を採取した「平成の空気」の缶詰だ。空気を缶詰にしたというアイデアのユニークさに、さまざまなメディアが反応した。この缶詰を企画した大阪の会社「ヘソプロダクション」は2017年、流行語になった「忖度」を商品化した「忖度まんじゅう」でも知られる。
食品や飲料に「令和」と記した土産物は全国津々浦々で販売されているが、中でも興味深かったのが、熊野本宮大社(和歌山県田辺市)の参道横にあるカフェから13日に発売されたドリップコーヒーセット。「令和」の文字と、毎年発表される「今年の一字」がパッケージになっているもので、筆を揮ったのは九鬼家隆宮司だ。令和は万葉集の梅花の歌を典拠としていることから、梅の生産量が全国一の和歌山県では記念商戦が活発だという。
ECサイトは、発表当日からカオス状態だ。元号発表直後からメルカリで売られ出した珍商品の数々を、Buzzfeedが紹介している。ところで菅官房長官が掲げていたあの「令和」の書を、そのままデザインに使っても構わないのだろうか? J-CASTニュースによると、無断で使った場合は黙認されるらしいが、「やめた方がいい」という弁護士のコメントも併せて掲載されている。
(文:田崎亮子)