Philippe Krakowsky
2024年6月19日

「AIがクリエイティブの精度向上を促す」 フィリップ・クラコフスキー IPG CEO

AIの時代に、大手エージェンシーのトップはクリエイティビティーへの投資をどう考えているのか。今回はインターパブリック・グループのフィリップ・クラコフスキーCEOが登場する。

「AIがクリエイティブの精度向上を促す」 フィリップ・クラコフスキー IPG CEO

* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。

過去数十年の間に、創造的破壊をもたらす技術が波のように押し寄せるのを、我々は目の当たりにしてきた。プラットフォームの出現、データの大量拡散、仮想現実や拡張現実と、例を挙げればきりがない。これらはデジタルトランスフォーメーションと新しい働き方を必要としてきた。

人工知能はこれら全てに影響を与えている。生成AIが我々のビジネスのクリエイティブな部分に、大きな変化をもたらすのは明らかだ

マーケターが求めるコンテンツの大規模なパーソナライゼーションに不可欠なスピード、効率性、生産性を、生成AIが劇的に変化させることは疑いようがない。

またこのテクノロジーは、ブランドがナラティブを構築して消費者とつながる上で「何を」「いつ」「誰が」の他に、新たな次元を追加するためのツールを提供してくれるだろう。

テクノロジーの進歩にかかわらず、人々とのエンゲージメントを単なる取引的なものでなくインパクトのある方法で構築することは、人間が世界をどのように解釈して意味づけるかということと常に結びついている。

つまりシンボルやストーリーは、私たちが暮らすテクノロジーが進歩した世界にも存在するということだ。

そしてブランドやビッグアイデアは、共感を呼び行動に移してもらうための強力なコミュニケーション手段であり続ける。

アイデア創出のツール

まず、生成AIの主な利点は、アイデア創出のツールとして役立つことだ。

当社のチームは既に、広範なキャンペーンであれ単一のエグゼキューションであれ生成AIを幅広く活用している。時間とリソースの制約がますます厳しくなる中で、生成AIを使って発想を拡げ、検討や選別を行っているのだ。

当社がAIを活用するもう一つの方法は、クライアントの組織内や主要なビジネスパートナー、ファン層の間で、クリエイティビティーの民主化と分散化を行うことだ。

また、さまざまな業種のクライアントに向けた統合マーケティングソリューションの一環として、クライアント事例や使用事例に特化したLLM(大規模言語モデル)を作成している。

さらに、オープンソース型のAIモデルにリソースを投入し、クライアント向けの業務が消費者に効果的にリーチし共感を得られるよう、AIモデルをトレーニングしている。

最後に、AIは当社のクリエイティブチームにまったく新しい表現方法をもたらし、動画コンテンツからゲーム、フィジカルおよびデジタルでのアクティベーション、その他のマーケティング活動に至るあらゆる分野で、シミュレーションや視覚化、ハイブリッドリアリティーを可能にした。

平均への回帰を避けるには

利用可能なツールやテクノロジーは業界全体でほぼ類似しているため、平均への回帰が起こりかねないことは言及しておくべきだろう。

つまり今後も差別化において、人材が重要であり続けるということだ。そのため当社では人材のスキルアップへの投資を継続し、AI分野の大手企業とのパートナーシップを構築していく予定だ。

倫理的に調達したファーストパーティデータの品質と規模も、当社にとって長期的に有利となる。高品質でユニークなデータセットを見つけることが、AIインスタンスやツールの差別化につながるためだ。

生成AIによってさまざまな可能性が広がるにつれ、メディアやパフォーマンスマーケティングのチャネルでは標準となった高いレベルの精度やアカウンタビリティを、クリエイティブな側面にどのように持ち込むかは、我々とクライアント次第だ。

そして、我々が過去に乗り越えてきた技術の大きなシフトと同様、オートメーションとアルゴリズム、人間の専門知識と判断の間に、適切なバランスを見つけていかなければならないだろう。

整理すべきことは非常に多く、もちろん落とし穴もあるが、チャンスもたくさんあるのだ。

(ちなみに、この原稿の執筆にはAIを使用していない。)

 

 

フィリップ・クラコフスキーは、インターパブリックグループの最高経営責任者。

提供:
Campaign Japan

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