David Blecken
2018年4月02日

カード支払いを「当たり前」に VISAの新CM

新CMでは、日々の支払いにカードを使う利便性を訴求する。

VISA(ビザ)は、新たなマーケティング責任者の着任以来初となる大々的なキャンペーンを実施した。制作はBBDO JAPAN。キャッチフレーズ「New Normal」には、クレジットカードやデビットカードを日々の買い物に使ってもらいたいという思いが込められている。

テレビCMには、2016リオ五輪の競泳男子400メートル個人メドレーで銅メダルを獲得した瀬戸大也選手を起用。新しい発想で始動したものが、やがて次の「当たり前」に進化していくというメッセージで、同社は「支払いの進化で、明日の当たり前を作ります」と約束する。CMの中では、瀬戸選手がボトル入りの水をデビットカードで購入するシーンが登場する。

ビザは2020年東京五輪のワールドワイドパートナーで、今回の「New Normal」は2020年までは継続していく予定だ。同社は国内でイノベーションを牽引していく存在として打ち出そうとしており、昨年には元グーグルの柏木孝文氏をマーケティング責任者として任命している。

柏木氏は昨年Campaignのインタビューに、スマートスピーカーやコネクテッドカーなどといった技術の進化に同社の将来を見出していると語った。まずは直近の課題として、現金よりもキャッシュレスがいかに便利かを訴求していく。

Campaignの視点:
支払いの進化の象徴としてデビットカードを大々的に打ち出すのは、随分と控えめに映るかもしれない。だが柏木氏によると、日本では小額をカードで支払うことで「お金を持っていない」と思われることを危惧する消費者もいるという。そのことを考慮すれば、CMの訴求内容には納得がいく。

必ずしも「クリエイティブな作品」ではないかもしれないが、伝えたいメッセージは明確だ。著名なアスリートの起用も悪くない。ビザがメッセージを今後どのように浸透させ、慣習を変えていくことができるか、注目していきたい。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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