David Blecken
2019年1月18日

パンテーン、「爆毛赤ちゃん」を起用し個性を愛することを訴求

髪の毛がふさふさなことで知られ、時には批判すらされる赤ちゃんを起用した。

P&Gのヘアケア製品ブランド「パンテーン」が、自分を率直に表現することの大切さを訴求する広告キャンペーンを展開。驚くほど髪が多いことでインスタグラムで話題になった赤ちゃん「babychanco(ベイビーチャンコ)」を起用し、関心を集めている。

制作はグレイ。「The Hairy Tale」と題された動画には、豊かな髪によってbabychancoが有名になっていった様子が描かれる。2017年12月に誕生し、生後4カ月で母親がインスタグラムに投稿したところ人気を博し、フォロワーは38万人に上る。

現在は1歳を少し過ぎたところのbabychancoが、果たしてパンテーンを愛用しているのかは不明だが、同ブランドは「#HairWeGo さあ、この髪で行こう。」というキャンペーンのシンボルとして起用。だが意外なことに、この豊かな髪が物議を醸した。多くの人はこの写真にポジティブな反応を示したが、「普通の」赤ちゃんらしくない、髪を切ってはどうかと批判する声も。

パンテーンのメッセージは、個性や違いを愛そうというもの。「みんなが『みんなと違う』を大好きになれたらきっと世界はもっともっと素敵になるから」というナレーションを担当した近藤サトも昨年、「白髪は染めるもの」という固定観念に立ち向かい、白髪を隠さないグレイヘアでメディアに登場して話題となった。

パンテーンは昨年、就職活動生を勇気づける広告を展開した。いつの間にか「常識的」なものとして定着した画一的なリクルートスーツや髪形に一石を投じ、就職活動で自分らしさを出せるよう背中を押した。

Campaignの視点:
この赤ちゃんの愛らしさに、少しも心を動かされない人は果たしているだろうか。それをブランドが利用すべきか否かは議論の余地があるものの、パンテーンが打ち出すメッセージは前向きで、反論しようがない。幼くして有名になったBabychancoが天狗になることなく、健やかに育ってくれればと願う。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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