David Blecken
2018年10月19日

「メイクが一歩踏み出す勇気に」 資生堂の動画

柳沢翔監督による最新動画は、ハロウィーンをテーマとした、型にはまらないラブストーリーだ。

何か新しいことに立ち向かう時に、メイクが背中を押してくれる――このようなメッセージの動画を、資生堂が公開した。同社「High School Girls?」を手掛けた柳沢翔監督による作品で、LGBTQのキャラクターを繊細に描いたものとなっている。

題材となっているのは、日本でも知名度が高まってきたハロウィーン。かぐや姫に扮した主人公は恋人(ドラキュラ)と共に、仮装した人たちで大盛り上がりのパーティーバスに乗り込む。だが、親友(サムライゾンビ)が自分に友情以上の感情を抱いていることにも、薄々気付いている。主人公が流した涙で、本当の気持ちを隠すような濃いメイクが変化(移行シーンは「High School Girls?」を連想させる)。このことをきっかけに主人公は、恋人でなく親友を選ぶのだ。

根底にあるテーマは「メイクの力」。「Make up your own story(あなた自身の物語を描くために)」というキャッチフレーズには、新しいメイクが一歩前へ踏み出す勇気に変わるというメッセージが込められている。

特設サイトには、登場人物や制作舞台裏、使用商品などが紹介されている。主人公に起用されたのは、ロシアと韓国にルーツを持つモデルのエレーナ・アン。親友役には、ヴォーグジャパン「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」を2016年に受賞したファッションモデル、福士リナを起用。彼女は資生堂「PLAYLIST」のイメージモデルも務める。恋人役を演じたのは、ダンサーや振付、モデルとして活躍中のえんどぅ。

Campaignの視点:
資生堂は近年、日本で最も革新的な広告主企業の一つであり、今回の作品も、同業他社とは一線を画すものであった。さまざまな賞を獲得した「High School Girls?」のように衝撃的な結末ではないものの、本作品は色彩豊かでストーリーも奥深い。前知識が無いまま動画を見ると全容が分からず、再度見ることとなるかもしれない。視覚的に魅了あふれる作品となっているだけでなく、日本のブランドが広告でLGBTQコミュニティーに直接語りかける希少な例といえる。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

Premium
広告界、「クッキー規制」を支持
Premium
7 時間前

広告界、「クッキー規制」を支持

クッキー(cookies)機能の制限はよりクリーンで持続可能なエコシステムを生む −− 広告業界幹部の多数派意見だ。

Premium
AKQA、東京オフィスのリーダーが交代
Premium
2 日前

AKQA、東京オフィスのリーダーが交代

バッソー陽一郎氏が、2年間務めたAKQAを去ることが明らかになった。

Premium
帰りのタクシー内でのミーティングが、なぜ良いのか
Premium
2 日前

帰りのタクシー内でのミーティングが、なぜ良いのか

仕事を始めるのに最適なのは、クライアントとのブリーフィングの帰り道である。

Premium
世界マーケティング短信:より強固な団結を目指す電通
Premium
2019年5月17日

世界マーケティング短信:より強固な団結を目指す電通

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。