David Blecken
2016年11月17日

スポティファイ、初のブランディングテーマは「発見の喜び」

音楽ストリーミングサービスの「スポティファイ(Spotify)」は、日本向けサービスの本格的開始に合わせたキャンペーンとしてコメディータッチの動画シリーズを公開した。テーマは、新しい音楽との出会い。音楽が人々の日常生活に彩りを添える様を愉快に描く。

9月末に日本向けサービスを開始したスポティファイが、初のブランディングキャンペーンを立ち上げた。サービス開始当初は利用時に招待コードを必要としたが、その制限を外して一般利用に移行する。

ワイデン・アンド・ケネディ東京が手がけた動画シリーズ「キミの新しい音楽」は、音楽が人々の生活に活力を与える様をユーモラスに表現する。そのコアメッセージは、馴染みのないジャンルの音楽との出会いがいかに触発的で、世界観までも変え得るということ。「キミの新しい音楽に出会おう」というキャッチフレーズで、視聴者を誘い込む。

5つの動画には、ヒップホップやメタル、パンクロック、テクノ、R&Bに感化された人々が登場。ネギを刻んだり、満員電車で通勤したりという日常のありふれた光景が音楽によって一変してしまう。スポティファイは、ツイッター上でも「#絵文字で音楽発見」キャンペーンを展開。これはユーザーがその時の気分を表す3つの絵文字を入力しツイートすると、同社がお勧めの曲を返すという仕組みだ。

スポティファイは各音楽レーベルと5年に及ぶ交渉の末、日本でのサービスを開始した。電通は同社が日本のデジタルオーディオ広告のパイオニアになることを期待しており、両社は提携関係にある。業界関係者の多くはスポティファイの今後を楽観視するが、一部には「日本のアーティストの楽曲をどれだけ揃えられるかがカギ」と懸念する声もある。

Campaignの視点:動画はそれぞれ愉快で単純、かつインパクトに溢れる。日本市場では比較的ブランド認知度が低いスポティファイにとって、まさに必要とする要素を織り込んだと言える。日本のアーティストの曲を取り上げている点も賢明だ。各登場人物では、東京の通勤ラッシュの狂気をデスメタルで発散するサラリーマンが一押し。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:鎌田文子 編集:水野龍哉)

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

1 日前

世界マーケティング短信:Cookie廃止の延期、テスラの人員削減

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

2 日前

大阪・関西万博 日本との関係拡大・強化の好機に

大阪・関西万博の開幕まで1年弱。日本国内では依然、開催の是非について賛否両論が喧しい。それでも「参加は国や企業にとって大きな好機」 −− エデルマン・ジャパン社長がその理由を綴る。

3 日前

エージェンシー・レポートカード2023:カラ

改善の兆しはみられたものの、親会社の組織再編の影響によって、2023年は難しい舵取りを迫られたカラ(Carat)。不安定な状況に直面しつつも、成長を維持した。

3 日前

私たちは皆、持続可能性を前進させる責任を負っている

持続可能性における広告の重要性について記した書籍の共著者マット・ボーン氏とセバスチャン・マンデン氏は2024年のアースデイに先立ち、立ち止まっている場合ではないと警告する。