David Blecken
2017年1月30日

「妻の気持ちになって体験する」試乗会

日産自動車はファミリーカーのプロモーションとして、「ママ」の気持ちを「パパ」に体験してもらう特別試乗企画「Mommying(マミーイング) Drive」を実施した。

これは、新型ミニバン「セレナ」のプロモーションの一環。日本の夫たちに妻の気持ちを味わってもらい、社会的課題への取り組みを後押しようという試みだ。

「もしもパパがママになったら MOMMYING DRIVE」と題したこの企画は、日本愛妻家協会の監修のもとで実現した。試乗の模様を収めた動画には、3人の勇気ある夫が登場。彼らは何と妻の姿に扮し、その1日を体験するのだ。

「妻になった夫」たちはセレナに乗り、ママとして子どもたちを保育園に送り、買い物をし、クリーニング店に寄り、子どもたちの習い事の送迎をこなす。日産自動車はニュースリリースの中で、企画の目的を次のように述べている。「クルマ選びをする上で『パパ/夫』の皆様に、『ママ/奥さま』の気持ちになりきり、普段の生活シーンを通して起きる様々な体験をしていただくことで、『セレナ』の魅力を普段とは異なる視点で確かめていただこうと企画されました」。このメイキング動画も公開されている。

動画の公開に加え、1月28日(土)・29日(日)の2日間、横浜の日産グローバル本社ギャラリーを発着点とする「セレナ」の試乗会も開催された。通常の試乗会とは異なり、夫は妻の姿に変身、場合によっては男女の力の差や胸の重さ、ホルモンの乱れによる下腹部の違和感などを体感できる「アンパワードスーツ」を装着し、買い物に行くというユニークなものだった。

Campaignの視点:
この企画は、「最高にエキサイティングな車」とは言えないセレナの個性と魅力を引き出している点で評価に値する。しかも、単に奇を衒っただけのアイデアではないのだ。日産ブランドにもたらされるメリットは明らかなうえ、日本愛妻家協会の活動へのサポートと、男性が家庭でより積極的役割を果たす必要性もメッセージとして込められている。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:鎌田文子 編集:水野龍哉)

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

1 日前

カンヌライオンズのケースフィルムを廃止すべき理由

DM9のスキャンダルは、単なるAIの問題ではない。キャンペーンの成果そのものでなく、その見せ方を評価するという時代遅れの慣習が露呈したのだ。

1 日前

エージェンシーとクライアントの「夫婦療法」

クライアントとの関係に不安を抱くエージェンシーは、すぐに話し合いを始めるべき −− 強固な信頼関係は端から有り得ない、とコンサルティング会社トップは語る。

2025年7月25日

世界マーケティング短信:アセンブリーとADK GLOBALが合併

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

2025年7月23日

ジャーナリズムの最後の砦は、団結なのかもしれない

コンテンツの有料化では、AIによるスクレイピングからジャーナリズムを救うことはできない。パブリッシャー同士で競い合うことをやめ、AIプラットフォームが無視できないような共同ライセンスや、ターゲティング能力の強化に着手すべきだと、マーティン・バーティルソン氏は主張する。