David Blecken
2019年4月12日

世界マーケティング短信:求む、ダイバーシティ

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

写真:Shutterstock
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※記事内のリンクは、英語サイトのものも含みます。

ハーゲンダッツ、狙うは女性クリエイティブ

サーチ・アンド・サーチとの4年間にわたるパートナーシップを終えたハーゲンダッツが、新たなグローバルエージェンシーを探している。同社が求めるのは「より刺激ある提案」とともに、社是である包摂性。つまり、社員の構成比や企業文化などでジェンダー平等を実現しているエージェンシーだ。同社マーケティング責任者のジェニファー・ヨルゲンセン氏は、「広告界で女性が幹部職になるのは今でも大変なこと。こうした環境を変えるサポートをしていきたい」と語る。このようなアプローチはより多くの広告主に期待される。それは決して利他的な目的だけではない。ジェンダー的にバランスの取れたエージェンシーとの契約は、より優れた成果を生むことを意味するのだ。

では、あなたの会社のダイバーシティはどれだけ進んでいるのだろう? Campaignの実施した調査をご覧ください。

#Me Too」による名誉毀損罪

インドで27歳の男性が、広告代理店「ユートピア」の共同設立者スダルシャン・バナージー氏の名誉を毀損したとして逮捕された。報道によると、ウタカーシュ・メータ容疑者はソーシャルメディアや電子メールで友人の名を使った偽アカウントを作り、バナージー氏からハラスメントを受けてきたと主張。その後セクハラ的メッセージをオンライン上で展開し、バナージー氏の弁護士によればユートピアは100万米ドル(約1億1000万円)の損失を受け、40人のスタッフが離職したという。「#MeToo」運動が浸透した今、この事件は不当に訴えられた者が「犠牲者」になることを意味する。突き詰めると、「推定無罪」の適用が#MeTooの意義を蝕むことすらあるのだ。

バーガーキング、「箸の広告」で謝罪

西洋ブランドの「箸」にまつわる悪い冗談が絶えない。今度はバーガーキングが展開したインスタグラム広告。大きな箸を使ってベトナム風サンドイッチを食べる男女の姿が、「無神経だ」として非難を浴びた。何百万ものページビューがあったこの広告を見て、韓国系ニュージーランド人のマリア・モー氏は「どんな人種差別にも、もううんざり」とツイート。これをきっかけに議論が沸騰、多くの人々がこの広告を「不適切」と見なした。だが中には、ベトナム人からの意見も含め「楽しい」「不快ではない」といったものも。

昨年11月には、箸でイタリア料理を食べようと苦闘するアジア人モデルを描いたドルチェ&ガッバーナの広告動画が大きな非難を浴びたばかり。だが、これらブランド全てが人種差別主義的立場を取っているわけではなく、こうした騒ぎが過剰反応気味であることは否めない。それよりも深刻なのは、これらのジョークが決して面白いものではなく、にもかかわらずブランドがリスクを取っている点だ。西洋には明らかに社会的意識を欠いたマーケターがまだ多く、こうした「文化的ユーモア」を描いた作品はまたすぐに現れることだろう。

9カ国語を話すベッカム?

先般、Campaignは「ディープフェイク」がパブリッシャーやブランドにとって差し迫った危機であることを取り上げた。だが、慈善団体「マラリア・ノーモア」がその技術をポジティブに利用した広告を公開。サッカー界の元スターであるデヴィッド・ベッカムを起用し、合成技術の活用で彼が「マラリアと闘うために団結を」と多言語で訴えかける。制作はR/GAロンドン。ディープフェイクの技術はいまも物議を醸すが、フェイスブック(FB)のシェリル・サンドバーグCOO(チーフ・オペレーティング・オフィサー)はフェイクニュースを厳重に取り締まるため、FB上のディープフェイク動画を一切禁止すると発表した。

今週のその他の動き:

報道によると、アマゾンは同社が開発したAIアシスタント「アレクサ」と所有者との「会話」を傍聴するチームを編成したという。「サービス向上のため」としているが、多くの人々にとってはゾッとするような話だ。果たして、アレクサを使ったり買ったりする人は減るのだろうか。

楽天は北米市場でのシェア獲得のため、NBAのスターであるステフ・カリー(ゴールデンステート・ウォリアーズ所属、同チームは楽天がスポンサー)を起用した大々的なマーケティングキャンペーンを開始した。同社はFCバルセロナのスポンサーも務めるが、アジアでの事業は苦戦している。

新たなバーチャルインフルエンサー、「リアム・ニクロ(Liam Nikuro)」が誕生した。日本人と米国人のハーフ男子で、日本の化粧品や派手なファッション、スイートポテトウェッジが大好きという設定。メディア向けのリリースなどに載せられたインタビューを見ると、特に頭が良さそうなわけではないのだが……。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:水野龍哉)

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