
* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。
コロナ禍以降、欧州の有名サッカークラブはアジアへの投資を控えてきた。「サッカー経済」の中心が来年のワールドカップを開催する北米や、2034年に開催する中東に移りつつあるのもその理由の1つだろう。
だが、アジア市場でのビジネスは再び上昇機運にある。今夏にアジア各地で開催されたプレシーズンマッチや、アジア企業のスポンサー数の増加を見ればそれは明らかだ。サッカーのスポンサーシップでアジアが占める割合は、2023年に世界のわずか5%だったのに対し、2024年は14%へと増加した。
米スポーツマネジメント大手IMGのトム・エルスデン氏が、今のサッカー市場で起きている変化について説く。
アジア市場の優位性
欧州のサッカークラブや選手、リーグ、そして団体にとって、アジアはまだ多くの成長の可能性を秘めた魅力的な市場だ。世界のサッカーファンの58%はアジア太平洋地域(APAC)地域の人々で、欧州の15%、ラテンアメリカ(LATAM)の12%よりもはるかに多い。しかも、そのファン層には大きな特徴がある(調査会社GWIの資料より)。
サッカーを含む多くのスポーツではファンの高齢化が将来的成長の脅威とみなされているが、APACのサッカーファンの52%は34歳未満の若者(欧州では38%)。これは、時間とお金をサッカーに費やす層が非常に厚いことを意味する。
こうしたファンたちの多くは親からの影響を受けない「欧州サッカー第1世代」で、今後も自分の好きなチームをサポートしていく −− 欧州サッカー関係者が戦略のベースに据えるのは、こうした考え方だ。
さらなるビジネスチャンスのために欠かせないのは、ローカリゼーション、すなわちアジア向けのマーケティング。鍵はグローバルパートナーの活用と、アジアのブランドとのパートナーシップから生まれるスポンサーシップだ。多くの国々でメディア市場が変化しつつある今、こうした戦略はリーグや団体にとっても権利拡大につながる。またエコシステム全体を通じ、マーチャンダイジングやチケット販売、メンバーシップ制度の活用で、DTC(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)の機会拡大にもなる。
アジアでの成功要因
アジア市場で最も効果的なのは、何よりもチームの「勝利」だろう。これはマーケティングではコントロールできないが、成功を踏まえ、より投資を強化することが重要だ。最近の成功例は、パリ・サンジェルマンFC。アジアで急速に成長を遂げており、ファン全体の約45%がアジアを占める。チームのピッチ上での成功に加え、新たなデジタルマーケティングの取り組み、アジア主要都市でのオフラインによる観戦イベント、シーズン中のレジェンドによるツアーなどが功を奏したかたちだ。
熱狂的なアジアのサッカーファンが欧州を訪れるケースは稀にあるが、その99%は好きなクラブのホームスタジアムを訪れることはない。これが、ビッグクラブが継続的にアジアへ遠征する理由だ。象徴的な例が、7月に行われた「香港サッカーフェスティバル」。英国国外で初めて、トッテナム・ホットスパー対アーセナルのノースロンドンダービーが実現し、チケットは24時間で完売した。
マレーシアではマンチェスター・ユナイテッドのポストシーズンマッチ(対ASEANオールスターズ)が開かれ、7万人の観衆が詰めかけた。さらにリバプールやACミラン、ボルシア・ドルトムント、バルセロナ、レアル・ソシエダ、ニューカッスルといった名門クラブもアジアに遠征。こうしたプレシーズンマッチやポストシーズンマッチはクラブにとって短期的な収益機会になるだけでなく、長期的なブランド、及びビジネス戦略の基盤を築く機会にもなる。
アジアに遠征できないシーズン中でも、人気クラブはアジアのファンに向けた年間のマーケティング戦略を欠かさない。最近ではソーシャルメディアへの投稿の翻訳から、アジア全域に向けたブランドのローカライズや、優先国・言語ごとの独自戦略の構築へと進化している。
さらに欧州サッカーは、エンゲージメントの高い、活気あるオンラインコミュニティーをアジアで確立している。APACではファンの45%が、クラブのソーシャルメディア活用に対してポジティブなイメージを持つ(欧州では27%)。こうした基盤が、地理的に遠いにもかかわらず、クラブのコミュニティーを構築し、ファン層を拡大する要因となっている。だがソーシャルメディアは問題もあり、人気選手やチームのスキャンダルが一気に拡散する事態も起きている。
価値と規模
欧州サッカーは、アジアで第2の故郷を見出した。グローバルなサッカーコミュニティーに参加している優越感、ファンの間で個性を発揮できる満足感……その利点が何であれ、アジアにおける成長の可能性は莫大だ。クラブにとっての最大の「報酬」は、数十年に及ぶロイヤリティ。一貫した投資を続け、基盤を強化し、年間を通じて真の価値を提供するクラブこそが、それを獲得できると言えよう。
トム・エルスデン氏はIMG傘下のスポーツエージェンシー「メイルマン(Mailman)」のデジタル担当バイスプレジデントを務める。