Ryoko Tasaki
2022年7月22日

世界マーケティング短信:偽レビュー業者の排除に本腰

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

世界マーケティング短信:偽レビュー業者の排除に本腰

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。

アマゾン、偽レビューを書かせたグループを提訴

アマゾンは、1万を超えるグループが偽の製品レビューを書かせていたとして、フェイスブックグループの管理者に対する法的措置を講じた。これらのグループは米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、日本のアマゾンのサイトに、金銭や製品と引き換えに誤解を与える偽レビューを書く個人を募集していた。あるグループには43,000人以上のメンバーがいたというが、今年初めにメタが同グループを削除している。

アマゾンでは12,000名の社員が、偽レビューの監視を進めている。「私たちのチームは、何百万件もの疑わしいレビューを消費者に見られる前に削除しています。今回の訴訟は、ソーシャルメディア上で活動する加害者を明らかにするため、もう一歩踏み込んだものとなります」と同社のセリングパートナーサービス担当バイスプレジデント、ダーメッシュ・メータ氏は述べる。

電通インターナショナル、APAC担当CEOにロバート・ギルビー氏

電通インターナショナルのアジア太平洋地域(APAC)担当CEOに、9月からロバート・ギルビー氏が就任する。グローバルCEOのウェンディ・クラーク氏の直属となり、シンガポールを拠点に18の市場で社員11,600人の指揮を執る。同氏はプライスウォーターハウスクーパース、ターナー、ウォルト・ディズニー・カンパニーなどで要職を歴任し、昨年10月ニールセンのAPAC担当プレジデントに就任した。APACで25年以上の経験がある。

電通インターナショナルでは、クリエイティブ担当CEOのフィル・エイドリアン氏が今年4月に辞任し、チーフクリエイティブオフィサーのマーリー・ハイミー氏が今年6月に去るなど、トップマネジメントの交代が相次いでいる。

広告会社への不満からインハウス化が増加傾向 WFA調べ

広告主がエージェンシーへの不満を募らせており、これがインハウス化(内製化)を推し進めていることが、世界広告主連盟(WFA)とザ・オブザーバートリー・インターナショナル(The Observatory International)の調査で明らかになった。2020年の調査で広告主企業の57%が進めていたインハウス化は、今回80%にまで増え、現在検討中と回答した企業も13%に上る。

現在取引のあるエージェンシーとの関係に満足している企業は25%で、取引先の見直しを検討する広告主は69%。また、エージェンシーとの取引を減らそうと考えている広告主企業は60%であった。

GE3社分割後の社名とロゴを発表

ゼネラル・エレクトリック(GE)は、今後計画している分社化によって生まれる3社の名称を発表した。ヘルスケア事業は「GEヘルスケア(GE Healthcare)」、エネルギ事業は「GEベルノバ(GE Vernova)」、航空事業は「GEエアロスペース(GE Aerospace)」となる。

ベルノバは緑色を意味する「ver」と、新しいという意味の「novus」から引用した名称で、GEリニューアブルエナジー、GEパワー、GEデジタル、GEエナジー・ファイナンシャル・サービスなどを含む。おなじみのモノグラムを3社とも継承し、ブランドカラーごとに色分けしたロゴとして使用する。

 

ニュージーランドが進める「極秘」の観光客誘致キャンペーン

ニュージーランド政府観光局が「極秘ミッション」として進める観光客誘致キャンペーンの定例会議を、まるで覗き見しているような動画が公開された。

豪州在住のニュージーランド人たちは長らく、ニュージーランドの魅力をクチコミでさりげなく普及促進してきたというが、観光再生を目指して取り組みをより加速させることに。そこでニュージーランドの魅力の数々を挙げながら、ニュージーランドの素晴らしい景色をオンライン会議の背景画像として使うことや、ぜひ訪れてもらうよう念押しすることで合意する。だがこの会議を参加者の一人がこっそり録画していたことが発覚し、会議は中止に……。企画・制作はTBWAシドニー。

(文:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

11 時間前

世界マーケティング短信:Cookie廃止の延期、テスラの人員削減

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

1 日前

大阪・関西万博 日本との関係拡大・強化の好機に

大阪・関西万博の開幕まで1年弱。日本国内では依然、開催の是非について賛否両論が喧しい。それでも「参加は国や企業にとって大きな好機」 −− エデルマン・ジャパン社長がその理由を綴る。

2 日前

エージェンシー・レポートカード2023:カラ

改善の兆しはみられたものの、親会社の組織再編の影響によって、2023年は難しい舵取りを迫られたカラ(Carat)。不安定な状況に直面しつつも、成長を維持した。

2 日前

私たちは皆、持続可能性を前進させる責任を負っている

持続可能性における広告の重要性について記した書籍の共著者マット・ボーン氏とセバスチャン・マンデン氏は2024年のアースデイに先立ち、立ち止まっている場合ではないと警告する。