Jessica Heygate
2023年2月09日

マーク・ザッカーバーグCEO「2023年は効率化の年」

メタのザッカーバーグCEOは、第4四半期にコストが22%増加した点について報告し、今後も合理化を継続すると約束した。

マーク・ザッカーバーグCEO「2023年は効率化の年」

フェイスブックを運営するメタのCEO、マーク・ザッカーバーグ氏は、2022年第4四半期の好不調入り混じった業績を報告した際、今後1年間で同社の事業をさらに合理化すると約束した。

メタの第4四半期の売上高は、前年同期比4%減の322億ドル(約4兆2300億円)となり、3四半期連続の減少となった。

コストは、22%増の258億ドル(約3兆3890億円)に急増し、同社の利益を押し下げた。メタの第4四半期の純利益は、55%減となる46億5000万ドル(約6108億円)だった。

メタは、第4四半期に、従業員の解雇やオフィスリースの早期解約、データセンターの再構築などのリストラ費用で42億ドル(約5517億円)を計上したと発表した。同社はこの四半期に約1万1000人の従業員をレイオフしている

しかし、コスト削減はまだ途上にある。ザッカーバーグ氏は2月1日の決算説明会で投資家に向けて、「合理化の継続」に注力しているとし、2023年の経営テーマは「効率化の年」だと述べた。

「昨年は、厳しいレイオフやいくつかの部門の再編で締めくくったが、私はその際にも、これは効率化への注力の始まりであって、終わりではないと明言した」(ザッカーバーグ氏)

メタは2023年にも、さらに10億ドル(約1314億円)のリストラ関連費用を見込んでいる。

効率重視の一環として、さらなる人員削減が予定されているのだ。ザッカーバーグ氏によると、同社は中間管理職層を排除することで組織構造をフラットにし、「より迅速に意思決定できる」ようにするのだという。また、業績不振のプロジェクトを積極的に閉鎖することも約束した。

ただし「主眼」は、エンジニアの生産性を高めることを目的とした人工知能(AI)ツールの導入など、メタの業務効率を高めることにあると同氏は説明した。そして、18年間急成長を続けてきたメタにとって「フェーズが変わった」ということなのだと表現した。

「効率化について語られる時はしばしば、優先順位付けと、いかに影響の大きい部分を削減できるかに焦点が当てられる。だが私の考えでは、長期的観点で良い会社にするためには、効率的に運営し、より少ないリソースで、より多くのことを実行できるようになり、多くのことを成し遂げられるようになることだ」とザッカーバーグ氏は語る。「当社をそうしたモードに変えていきたいのだ」

これは、メタの効率重視が、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)技術への巨額投資にどの程度影響するか、という質問に対する回答の一部となる。ザッカーバーグ氏は、社名をフェイスブックからメタに変更した2021年以来、「メタバースファースト」になることを推し進めてきた。だが投資家たちは、主力の広告事業が減速しているなかで、メタが「次のコンピューティングプラットフォーム」の構築にどれだけ資金を投入するつもりかという点について、強い懸念を抱いている。

VR/ARを手掛けるリアリティ・ラボ部門は、第4四半期に43億ドル(約5648億円)の損失を計上した。この期間の売上高は前年同期比17%減となる7億2700万ドル(約955億円)で、メタはヘッドセット「Quest 2」の販売台数が伸び悩んだことが原因だと説明している。

それでも、ザッカーバーグ氏のビジョンは揺るがない。

「私がこれまで見てきたなかで、リアリティ・ラボの戦略を長期的観点から、転換すべきだと示唆するものは何もない」と同氏は語り、「当社はこの戦略を実行する方法を常に詳細に調整している」と付け加えた。

ザッカーバーグ氏は、より効率的な新しいメタは、「より多くのことを成し遂げられるようになり、社員にとってもより楽しい職場になるだろう」と、従業員をいっそう苛立たせるに違いないコメントを残している。

フェイスブックのDAU20億人を突破

メタの財務は第4四半期も低調だったが、ユーザーの増加には成功した。この傾向は、スナップスポティファイネットフリックスなどの他のテック企業でも見られた現象だ。

12月、フェイスブックのデイリーアクティブユーザー(DAU)数は20億人(前年比4%増)に、月間アクティブユーザー(MAU)数は29億6000万人(同2%増)に達した。

インスタグラム、FBメッセンジャー、ワッツアップを含むメタのアプリ全体のDAUは29億6000万人、MAUは37億4000万人(同4%増)となった。

低迷する広告需要

メタは、第4四半期も引き続き「広告需要の低迷」に悩まされ、同社クライアント層の最大カテゴリーである、eコマースと消費財(CPG)分野でも、ゆっくりしたペースではあるものの成長が鈍化していることを明らかにした。

また、広告予算の減少が最も顕著だったのは、金融サービスとハイテク分野だったが、しかし、これらはメタにとっては比較的規模の小さい業種だとしている。

第4四半期の広告の成長に最も貢献した業種は、旅行とヘルスケアだった。

メタのアプリ広告のインプレッションは第4四半期に23%増加したが、広告単価は引き続き22%下落した。

地域別の広告売上高を前年同期と比べると、北米ではほぼ横ばい、APACでは3%の減、欧州では16%の減だったが、その他の地域では5%増とかなり強い伸びを示した。

リールの収益化を改善

メタは、フェイスブックとインスタグラムにおける短尺動画プロダクト「リール」の利用が過去1年間で「2倍以上」になり、リールのリポストも6カ月で2倍以上になったと述べた。

しかし、収益化は引き続き課題となっている。ユーザーの視聴時間がリールに費やされるということは、その分、ニュースフィード広告などの他のプロダクトから得られる収益が奪われることを意味するからだ。

ザッカーバーグ氏は、リールの視聴をさらに拡大するよりも、その収益化の方により注力すると述べた。

「今のところ、取り組むべきは収益化の効率だ。当社は、リールをもっと見たいという需要があることは把握しているが、収益の効率を無理なく進化させる必要がある。(中略)そのうち自然に、リール表示の上限も撤廃されることになるだろう」

最高執行責任者(COO)のハビエル・オリバン氏は、すでに広告主の40%以上がリール広告を購入していると説明した。

最高財務責任者(CFO)のスーザン・リー氏は、メタは「今年末か来年初めには」、「ほぼ予定通り」に、リール広告の逆風を解消することができるだろうと述べた。

投資家らは、メタの今年の見通しに概ね満足をしたようだ。同社の株価は時間外取引で20%以上急騰した。

提供:
Campaign; 翻訳・編集:

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