Akihiro Orimo
2018年3月23日

ミレニアル世代がSXSW2018で感じた、「溶け合う」世界

SXSWを視察した「マッキャン・ミレニアルズ」(マッキャン・ワールドグループ内のイノベーションプロジェクト)の共同リーダーが、今後の世界を紐解く。

(写真:折茂彰弘)
(写真:折茂彰弘)

2018年のSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)が今年のトレンドとして選んだ言葉は、「Globally Connected: we’re in this together」。筆者なりに意訳すると、「私たちは皆、一緒につながった世界にいる」というものだった。

SXSWは、毎年3月にアメリカ・テキサス州オースティンの街全体を使って開催される大規模イベントだ。音楽、映画、インタラクティブの3つのカテゴリーを中心に様々な最新トレンドが発表・議論され、広告業界の中でも年々注目度が増している。

過去にはツイッターやAirbnbが世界的にブレイクしたことでも有名で、「マッキャン・ミレニアルズ(McCANN MILLENNIALS)」は2015年から参加。ここで得たインスピレーションをもとに、世界初の人工知能クリエイティブディレクター「AI-CD β」プロジェクトを始動させた。

そして、今年。「Globally Connected: we’re in this together」という言葉が象徴するようなイベント内容を、いくつかの事例とともに紐解いてみたい。

“デジタル”と”フィジカル”の境界

「つながった世界」を考えるとき、今回のSXSWの大きなテーマの1つはxR(VR/AR/MRなどの総称)の新しいアプローチとその活用法だった。中でも現地で話題になったのは、「BOSE AR」が会期中に発表されたことだ。

BOSE ARは、スピーカー内蔵のメガネ型デバイスからオーディオによってユーザーに情報を提供することで、現実世界に情報レイヤーを追加していく。具体的に言うと、観光名所に行けばそのスポットにふさわしい案内をしたり、その土地に適した音楽を流したりするのだ。

今まで映像文脈が強かったARがオーディオ文脈という新しいアプローチで、しかもそれが普通のメガネの大きさや重さとほぼ変わらないデバイスでもたらされる。“デジタル”と”フィジカル”という、今まで対立構造で語られることの多かった2つの世界の境界が自然に取り払われていくことが、非常に大きなポイントだと感じた。

“ヒューマン”と”AI”の境界

今年のSXSWで活発に議論されたもう1つのテーマに、人工知能の活用法や現実世界への取り入れ方が挙げられる。

2014年にオックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授が発表したセンセーショナルな予測以来、人間(の職業)を脅かす存在として語られることが多かった人工知能だが、「AI-CD β」のように人間のクリエイティビティを拡張したり、ヘルスケア領域における診断・創薬のように生活を助けたりする先進事例がカンファレンスでは多く発表された。

では、”ヒューマン”と”AI”の境界線はどこに引かれるのだろう。我々(ミレニアル世代)より上の世代にとって、人工知能は後から登場した「領域を侵す存在」であり、その境界を意識せざるを得ないだろう。だが幼少期からSiriに話しかけ、アマゾンで最適化されたレコメンドによって買い物をする「AIネイティブ」のジェネレーションZ(2000年代以降に生まれた世代)は、その境界を意識することなく自然と共生する姿が容易に想像できた。

「つながる」の先の、溶け合う世界

これらの事例やカンファレンス内容から、今年のトレンド「Globally Connected: we’re in this together」の先に待ち受けているのはデジタルとフィジカル、 ヒューマンとAI、そしてジェンダーや人種、世代など様々な境界が曖昧になった「溶け合う世界」なのではないかと強く感じた。

そうなったとき、ミレニアル世代は「理解できない若者」から社会の中心的存在へと成長し、上の世代とジェネレーションZを仲介する「世代間の翻訳家」として活躍している −− そんな未来を思い描いた10日間だった。

(文:折茂彰弘 (マッキャン・ワールドグループ、プランナー) 編集:水野龍哉)

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Campaign Japan
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