Matthew Keegan
2023年9月21日

メタはフェイスブック全盛期の勢いを取り戻せるか?

BRAND HEALTH CHECK:記録的な赤字、人員削減、ライバルの億万長者との格闘技対決の噂、ツイッター対抗の新アプリのリリース。果たしてメタは以前の力強さを取り戻すことができるのだろうか。

メタはフェイスブック全盛期の勢いを取り戻せるか?

最近のメタ(旧フェイスブック)は、最高の時期にはほど遠い状態だった。リアリティ・ラボ部門は、何十億ドルもの損失を出し続け、昨年の初めから、210億ドル以上の損失を出したと報告されている。この主要因は「メタバース」が期待通り離陸せず、その夢がしぼんでしまったことにある。もっとも、脚のないアバターをこれ以上増やさずに済んで良かったと評する人もいるだろう!

また、スレッズアプリ(Twitter/Xの競合)に話を移せば、これも当初は大いに人気を博したものの、徐々に衰退し、大々的に発表されてから数週間で、半分以上のユーザーを失ってしまった。

そして、この浮き沈みが激しい業界で、2人の道化師、メタCEOのマーク・ザッカーバーグ氏と、彼のライバルで億万長者のテスラ社長イーロン・マスク氏が、金網リングの中で格闘を繰り広げるという奇妙な噂も飛び交っている。噂されるケージファイトは、実際には実現しそうにないが、(メタ社の現在の苦境を考慮し)もしザッカーバーグ氏に慰めがあるとすれば、総合格闘技のトレーニングに真剣に取り組んでいる彼の方が、ケージファイトで勝利する可能性が高いということだろう。もちろん、勝つこともあれば、負けることもあるが。

真面目な話として、メタは、この細分化されたユーザー環境から立ち直り、フェイスブック全盛期のような高みに立ち戻ることができるのだろうか?そして、ザッカーバーグ氏はメタバースの夢を復活させることができるだろうか(脚のないアバターを除いて)、それとも噂される金網マッチのような売名行為が、最終的にブランドを凡庸なものにおとしめてしまうのだろうか?

そこで、Campaignはブランドと広告の専門家5人に意見を求めてみた。

 
デイブ・レベット
マーマー・グループ、マネージング・ディレクター
いや、メタが全盛期のような高みに戻ってくることはないだろう。かつてフェイスブックは、ほとんど唯一無二のソーシャル・プラットフォームだったから、ユーザーエンゲージメントを大量に獲得し、ソーシャルメディアの世界で大きな発言権を保持していた。

ユーザーが、利用可能な時間と1日あたりの消費時間は今も変わらない。しかし、ユーザーが時間を費やし、エンゲージメントを育むプラットフォームの数は大幅に増えている。つまり、フェイスブックを含む各プラットフォームの利用時間は、断片化されているのだ。

メタは、こうしたソーシャル・プラットフォームの増加に対応し、ユーザーエンゲージメントを維持するために、新たな手段や技術を見つけようとしている。ワッツアップを買収し、インスタグラム・リールとスレッズ(それぞれTikTokとXの競合製品)を開発し、競合に対抗するだけの資本と技術を持っている。

それ以外で、メタがブランドとして平穏であり続けるためにできることは、ケージファイトで勝つことだけだ!
 

ジャクリーン・アレクシス・トゥン
パートナー、プロフェット

メタの現在の苦境は、まったく予想外ではない。マーク・ザッカーバーグ氏がメタバースにインターネットの未来を賭け、リアリティ・ラボからは毎年100億ドル規模の損失が生じると予想されている。メタバースのエコシステムが勢いを増すまで、メタが、ビジネスを真に好転させるのは難しいだろう。

噂されていたケージファイトは、最終的に対決が中止されたことを考えると、これはイーロン・マスク氏の物議を醸す性格を表した単なる宣伝だったのだろう。個人的には、この噂はメタよりもXの宣伝になったと感じる。結局、この試合は、イーロン氏のブランドにもマーク氏のブランドにもプラスにもマイナスにもならなかった。

メタ・ブランドを軌道に乗せるには、メタがその中核となる目的とソリューション提案を再考することが必要だ。核となるのは、ソーシャルメディアプラットフォームで人々やビジネス、コミュニティをつなぐことに焦点を当てることだろうか?VRやAIといった新たなテクノロジーへの投資だろうか?それとも、リアリティ・ラボ・パートナーシップ担当副社長のアッシュ・ジャベリ氏が言うように、「目的は、次世代インターネットだ。私たちをつなげ、私たちの存在感をより高めるために、テクノロジーに一体何ができるかということだ。だからこそ、私たちはこのスペースに投資しているのだ」ということか?

それが次世代のインターネットを創造することであり、それゆえに巨額の投資と継続的な損失を伴うのであれば、この大胆なビジョンは、長期的にはメタをゲームチェンジャーにすると信じている。しかし、成功するためには、ソフトウェア、ハードウェア、プラットフォーム、ユーザーのエコシステムをシームレスに構築し、素晴らしい顧客体験を提供する、アップルのような考え方が必要だ。


エド・ブーティ
ピュブリシス・グループ、APACチーフ・ストラテジー・オフィサー
メタ社に、ほんとうに何か問題があるのだろうか?いまだに、37億人超のユーザーベースを抱えているというのに。地球上に15~64歳のユーザーが35.3億人しかいないことを考えれば(中国や電気の通っていない地域のユーザーを除き)なおさらだ。何十億もの利益を生み出し、株価も急上昇している。私にはこれが危機に瀕したビジネスとは思えない。文字通り、史上最高大の人気を博しているのだ。

たしかに、メタバースの物語はタイミングもコミュニケーションも最善とは言えなかった。スレッドの立ち上げもかなり急いだように見えたし、まだ初歩的なものに過ぎないのだろう。しかし、この業界では、不手際や失敗は日常茶飯事だ。そして、人々の記憶力はとても弱い。グーグルの数々の失策(グーグル+、グラス、ウェーブ、ライブリーなど)は、今やその成功物語における小さな脚注のひとつと見なされている。

過去10年間、フェイスブック(メタ)は多くの有名で深刻な嵐を乗り越え、ほとんど無傷で浮上してきた。それに比べれば、億万長者同士の意地の張り合いなどは取るに足らないものに見える(そして、少しばかり稚拙に見える)。

メタにとって避けられない時限爆弾は、競合製品(BeReal、ティックトック、スナップチャットなど)にますます傾倒していく新しい世代の存在だ。インスタグラムはまだこの層から支持を得られているかもしれないが、新たな競争相手たちに対抗していくには、間違いなく数十億ドル規模の投資が必要になる。

引き続き競争と成長を続けるためには、メタ、あるいは少なくともそのブランドのひとつが、ユーザーに新鮮さをもたらす明確な提案と製品を確立する必要がある。


マーティン・ロール
ビジネス・ブランド戦略家、『Asian Brand Strategy』著者
私は、メタのブランドには可能性があり、マーク・ザッカーバーグ氏はブランド価値を高めることができると信じている。メタには、広告以外の収益源を多様化するためのリソースと専門知識があり、eコマース、デジタル決済、バーチャルグッズなどの業界に参入する余地があり、単一の収益源への依存度を減らすことができる。

メタバースは、当初の誇大広告は沈静化しているものの、メタにとって大きなチャンスであることに変わりはない。同社がこの新たな空間をうまくナビゲートし、魅力的で没入感のある体験を生み出すことができれば、成長を促進することができるだろう。

メタには、人工知能(AI)、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)などの各分野におけるイノベーションと戦略的投資に活用できる、厚い人材のプールと相当な資金力がある。

さらにメタには、トレンドやユーザーの嗜好の変化にいち早く適応してきた歴史がある。この適応力により、同社は進化する市場の力学に合わせて、効果的にピボットすることができるだろう。

しかし、メタの長期的な見通しを、より良いものにするためには、戦略的な意思決定、強力なイノベーション、ユーザー満足度と倫理的な態度への強いこだわりが必要だ。
 


ダニー・モリニュー
クラクソン最高戦略責任者
フェイスブックがかつての高みに戻ることは難しいが、戦略的な調整とイノベーションによって、勢いを取り戻すことはできるだろう。過去の栄光を取り戻すには、適応力、敏捷性、変化し続けるユーザーニーズへの対応が重要になる。メタプラットフォーム全体に関する業界統計によると、デイリーアクティブユーザーは四半期ごとに一貫して増加している。メタの将来的成功のために極めて重要なファクターは、ユーザーをアクティブにし、参加させ続けながら、そのプラットフォームを統合することにある。

メタのマーク・ザッカーバーグ氏と、Xのイーロン・マスク氏の間で提案されたケージファイトのような宣伝スタントは、見出しには上るだろうが、ブランドへの効果はまちまちだ。注目を集める一方で、ブランドのプロフェッショナルなイメージを希薄にし、本質から焦点をそらしてしまう危険性もある。成功の鍵は、注目を集める戦術とブランドの一貫性を維持することの間でいかにバランスを「取る」かにある。

イノベーションを促進すればブランドの活力を保つことはできるが、より重要なことは、強固なプライバシー対策を通じて、いかにユーザーの信頼を育み、透明性の高いコミュニケーションを醸成し、進化するユーザーニーズやトレンドに適応していくかだ。

 
この記事は、以下の記事カテゴリーにも掲出されています。

BRAND HEALTH CHECK:このカテゴリーでは、ブランドを評価し、(必要に応じて)改善策を提案しています

 

提供:
Campaign; 翻訳・編集:

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