Ryoko Tasaki
2025年10月17日

世界マーケティング短信:クックCEOが訪中、ライブ配信にサプライズ出演

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

(写真左から)龍家昇氏、ティム・クック氏、王寧氏。上海で開催されたポップマートのイベントにて
(写真左から)龍家昇氏、ティム・クック氏、王寧氏。上海で開催されたポップマートのイベントにて

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。

大型商戦目前、クックCEOが中国でのiPhone Air発売を発表 

米アップル(Apple)のティム・クックCEOが中国を訪れ、抖音(Douyin)のライブ配信に出演し、Phone Airの予約注文が今月17日から可能となり、22日に発売されると発表した。iPhone Airは物理的なSIMカードが廃止されてeSIMとなり、中国では利用が規制されていた。今回、規制当局からの使用認可が下り、大きな障壁を乗り越えたことになる。

同氏はまた、玩具メーカー「ポップマート(泡泡瑪特)」が上海で開催している展示会を訪問。同社の創業者である王寧氏と、人気キャラクター「ラブブ」を生み出したアーティストの龍家昇氏と会い、特製のラブブを贈られている。

アップルにとって世界最大の市場の一つである中国は、世界最大規模の販促イベント、ダブルイレブンを11月11日に控えている。中国メーカーもスマートフォンの新モデルを発表しており、激しい競争が予想される。

褒め言葉が自信喪失のきっかけに? ダヴ

ユニリーバ「ダヴ(Dove)」が国際ガールズ・デー(10月11日)に合わせ、少女への褒め言葉を変えるよう呼びかけるキャンペーン「#ChangeTheCompliment」を世界規模で展開した。これは「善意による容姿への褒め言葉は、身体への不満を増大させる可能性があり、大人たちは男子よりも女子の容姿を重視する」という研究結果に基づいているという。

50秒の動画では、少女たちが「かわいい」「きれい」と褒められる様子が次々と流れ、「女の子はただ美しいだけではない。そう伝えよう」という文字が現れる。そして「才能がある」「面白い」「クリエイティブ」「力強い」といった言葉をかけられる様子が映し出される。動画の他にも、ソーシャルメディアやユーザー生成コンテンツ、屋外広告、インフルエンサーとのパートナーシップなどを展開。企画・制作はズールー・アルファ・キロ(Zulu Alpha Kilo)。

ダヴのパーソナルケア部門ならびにダヴ・マスターブランドの北米における最高事業成長責任者、マルセラ・メレロ氏は「私たちの調査で明らかになった最も説得力のある真実の一つは、容姿への自信の無さは大人になってから始まるのではなく、幼少期に根付いているということ」と語る。「若い女性たちに、見た目以上の価値があるということを理解してもらうため、たった一つのことを変えみてほしい。国際ガールズ・デーを機に、褒め言葉を変えるよう呼びかけ、少女たちの見た目だけでなく、能力についても褒めるよう呼びかけています」。

ズールー・アルファ・キロ・ニューヨークで戦略責任者を務めるエイミー・ガーベイ氏は、このように語る。「この作品が挑発的なのは、一見すると無害でポジティブな行動が、実は少女や女性の自信喪失の根源にあるということ。人々がこれまで受け入れてきたものへの見方を変えるため、文化的な議論を巻き起こす作品である必要がありました」。

ピュブリシス、英国の二桁成長で通期予想を上方修正

ピュブリシス・グループ(Publicis Groupe)が第3四半期の業績を発表。オーガニック成長率が前年同期比+5.7%だったことから、通期予想を再び上方修正した。2025年は+5.0~5.5%の成長を見込む。

地域別では、北米が同+7.1%、欧州が同+2.8%、アジア太平洋が同+6.5%、中南米が同+9.6%、中東&アフリカが同-3.9%。特に英国は同+10.7と二桁成長を記録した。

純収益は40.5億米ドル、9カ月間の累計では124億米ドルに達した。他の広告大手の業績が低成長あるいは減速と予測されているのとは対照的だ。「今後の展望として、2026年に向けた準備を進めています。今年の9カ月間の新規事業の売上高は、前年の通期での合計額に既に達しました。そのため、来年も7年連続で業界内の成長率を上回ることができると予想しています」とアーサー・サドゥーンCEOは語る。

ハヴァスも通期予想を上方修正

ハヴァス(Havas)も第3四半期の業績を発表しており、純収益6.56億ユーロ、オーガニック成長率は前年同期比+3.8%を達成。通期予想は+2.5~3.0%を見込んでおり、当初予想(+2.0%)を上方修正した。

地域別では、北米が同+7.4%、欧州が+1.9%、アジア太平洋およびアフリカが同+8.2%、中南米が同-4.6%だった。

ヤニック・ボロレCEOは「新規事業の獲得など、事業拡大の勢いは目覚ましく、将来に向けた強固な基盤を築きました」。厳しいマクロ経済環境にもかかわらず、顧客の支出に「減速の兆候は見られない」と付け加えた。

(文:田崎亮子)
 

提供:
Campaign Japan

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