Ryoko Tasaki
2023年12月22日

世界マーケティング短信:ヴィヴェンディがハヴァス分割を検討

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

世界マーケティング短信:ヴィヴェンディがハヴァス分割を検討

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。

傘下企業の成長可能性を引き出すための分割

仏メディア大手のヴィヴェンディ(Vivendi)が、傘下にある複数部門の分割を検討している。対象となっているのは広告のハヴァス(Havas)、メディア事業を手掛けるカナル・プリュス(Canal+)、投資会社の3部門。各部門が力強く成長していることを受け、発展のポテンシャルを引き出すために分割するという。

ハヴァスは第三四半期に中南米市場が大きく成長し、前年同期比4.5%増の純収益を達成。ヤニック・ボロレCEOは「最高レベルの成長」だとコメントしている。

クーパンがファーフェッチを買収

韓国のECプラットフォーム大手クーパン(Coupang)が、高級品のECサイトを運営する英ファーフェッチ(Farfetch)を買収することが明らかになった。2018年にニューヨーク証券取引所に上場したファーフェッチだが、最近は経営難に陥っていた。緊急資金の確保のためアポロ・グローバル・マネジメントなど複数の企業と交渉してきたが、「韓国のアマゾン」と呼ばれるクーパンによる買収は予想されていなかった。クーパンは投資会社と提携し、5億米ドルの資金援助を行う。買収後のファーフェッチは非公開となる予定。

8月にはリシュモン傘下のユークス・ネッタポルテ(Yoox Net-A-Porter)の株式の47.5%をファーフェッチが取得することで合意していたが、今回の買収を受けてこの話は撤回となっている。

休暇返上でのプレゼン準備は世界共通?

年末年始やお盆など休暇直前にクライアントから依頼があり、準備のために休みを返上するというのは、業界内ではよく聞く話だろう。どうやら海外でも似たような状況のようで、Campaign USが幾つかのエピソードをまとめている。

例えばトンブラス(Tombras)の最高事業成長責任者であるマギー・ジェニングス氏は、海外での対面プレゼンを12月25日に実施してほしいとクライアントから依頼があった。その日がクリスマスであることを伝えると、代わりに指定されたのは大晦日か元旦だったという。

ザ・リバイバル・ハウス(The Revival House)の最高マーケティング&オペレーティング責任者のジャレッド・スコット氏は、スーパーボウル用CMの撮影を1月2日に予定していたが、その10日前、つまりクリスマスイブの前日になってキャンセルするようCMOから告げられた。出演予定のタレントはよく訴訟を起こすことで知られていたため、キャンセルした際の法的リスクなどを説明し、なんとか続行することが決まったが、出された条件が制作費を半分に抑えること。予定していた大物ディレクターには頼めなくなり、年内はなんとか形にすることに必死だったという。

匿名で語ってくれたある人物は入社したばかりの頃、クリスマスから新年までの期間に電話番のためだけに出社していた。かつて創立者がクリスマス休暇中に顧客から電話を受けたことがあり、以来オフィスを閉めずに対応するようになったのだとか。

広告主側からエージェンシーに転職したことで、かつて自分がエージェンシーを苦しめていたことに気付いたと打ち明けるのは、コール・マクヴォイ(Colle McVoy)ビジネス開発担当EVCのジーナ・グレイ氏。エージェンシーにはプレゼンテーションのストックがあり、休暇前に案件を渡すのは「良いクライアント」だと誤解していた。初期のピッチミーテイングですら、入念な調査や準備が必要だということを知らなかったという。このため同社は休暇中の作業が必要な案件については期間延長を打診し、認められない場合には断るようにしているという。

期間延長の交渉に成功したのは、パートナーズ+ネイピア(Partners+Napier)の創業者であるシャロン・ネイピア氏だ。夢のクライアントのピッチに招待されたものの、期日は1月初旬。クライアントは事業の柱の一つにメンタルヘルスを掲げていたため、自分たちのチームのメンタルヘルスも大切にしたいので休暇を与えたいと交渉した。その結果、最終プレゼンに参加する3社すべての期限が延長されたという。その後同社はこの案件を無事獲得し、共にエフィー賞を授賞するなど良好な関係が続いているという。

サンタクロースが、がんを乗り越えるまで

クリスマスを目前に、欧州最大のがん研究所「ギュスターヴ・ルーシー(Gustave Roussy)」が、がんと闘うサンタクロースの5分超の動画を公開した。

森の中で倒れたサンタクロースが、病院でがんと診断される。医療スタッフや家族に支えられながら治療を進め、がんを克服したサンタクロースはまた仕事に戻る。多くのがん患者がたどる身体や心理の状態をリアルに描いた。同研究所への資金調達を目的としたこの動画は、ピュブリシス・コンセイユ(Publicis Conseil)が無償で制作した。

【お知らせ】

今号が2023年最後の「世界マーケティング短信」となります。年明けは、1月12日より配信いたします。

皆さまには日ごろよりご愛読いただき、大変感謝しております。どうか良いお年をお迎えください。2024年も皆さまのさらなるご活躍を心よりお祈り申し上げます。

(文:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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