David Blecken
2019年6月27日

世界マーケティング短信:APAC勢のカンヌ受賞総数

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

写真提供:Shutterstock
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※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。

アジア太平洋地域、カンヌで120作品が賞獲得

先週のカンヌライオンズでのアジア太平洋地域の受賞総数は最終的に、グランプリ2作品、ゴールド8作品、シルバー34作品、ブロンズ76作品という成績になった。国別に見ると、豪州が36作品で首位、続いてインド(18作品)、日本(16作品)であった。中国は1作品がグランプリ、4作品がゴールド受賞という快挙であった。賞獲得の確率が4%と低いことを考慮すると、受賞者たちが称賛に値するのは疑いようがない。とはいえ、この地域の大きさを考えると、少し気落ちする結果でもある(米国は310作品が受賞、そのうちグランプリが14作品、ゴールドが69作品であった)。いつものことながら、アジア太平洋地域からの審査員が少ないことに起因するのか、あるいは質の高い応募作品が少なかったことが原因なのかは知ることが難しい。

S4キャピタル「ピュブリシスのエプシロン買収は危険な賭け」

S4キャピタルのアジア太平洋地域担当CEO、ミシェル・デ・ライク氏はATSシンガポール(アドテクノロジーに焦点を当てたカンファレンス)で、ピュブリシスが4月にエプシロンを44億米ドルで買収したのは賢明でなかったと語った。S4キャピタルはデータ会社を買収したいとは考えておらず、データを扱う専門技術を手に入れたいという。データの収集や所有に関する規制が厳しくなりつつある中で、膨大な消費者データベースを所有するエプシロンは「数カ月後には無くなっている会社かもしれません」。データを実際に所有することでなく、ブランドがデータを活用できるよう支援することにこそ、将来性があると信じているというのだ。核心をついた指摘かもしれない。

コカ・コーラ「ネットのオーディエンスに統一IDを」

他にもATSシンガポールでは飲料大手コカ・コーラ社が個人情報保護の強化を見越して、業界全体で統一されたオーディエンスIDを求めた。このことでメディアプランニングに一貫性がもたらされ、ネットワークの中立性を守ることにもつながるという。「さもなければ、何もかもが囲い込まれたままで現状維持されることになってしまいます」と、同社アジア太平洋地域マーケティングテクノロジーリーダー、ヴィディアルティ・エルッパイ・スリヴァトサン氏は語る。もし実現するならば、米インタラクティブ広告協会(IAB)など中立的な組織によって運用されるべきだろう。

囲い込みの潮流は引き続き、マーケターにとって大きな頭痛の種となるだろう。彼らがリーチしようとしている人々について、全体像の把握が不可能になるためだ。

日本デザイナーの政治的姿勢表明で、中国での販売が中止に

ナイキが、アンダーカバー(UNDERCOVER)とコラボレーションしたスニーカーの発売を中止した。香港では、容疑者の中国への引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に反対する大規模なデモが起きているが、このデモをアンダーカバーの設立者である高橋盾氏がインスタグラムで支持したためだ。高橋氏の写真と「No Extradition To China(中国への引き渡し条例に反対)」という文言が、同ブランドの公式アカウントに投稿された。

アンダーカバーは香港や中国でも人気が高い。同ブランドはこの件について、個人の意見が誤って投稿されたと表明したと伝えられる。インスタグラムは中国では閲覧できないが、VPN接続をすればアクセスが可能で、件の投稿には否定的なコメントが寄せられた。ナイキは米国などの国では、他のテーマにおいて政治的な立場を表明することで知られている。だが今回はアンダーカバーと距離を置くことで、炎上に巻き込まれることを避けた形だ。

CMOは「マーケティングの殻を破る」必要がある

セールスフォース社が米シカゴで開催したカンファレンス「コネクションズ」で、同社のグローバルCMOであるステファニー・ブシェミ氏はCampaignのインタビューに応じ、効果的なマーケティングにはあらゆる部門の社員と関わることが不可欠だと語った。「マーケティングの殻を破るというのは、サービスやセールスのリーダーなど、社内のあらゆる部門の人たちと関わることを意味します」。このことによって、どの施策には効果があって、効果が無かったものはどれか、マーケティングが実際にどのように貢献しているか(あるいは貢献していないのか)、判断に役立つという。

同氏はまた、CMOにとってCEOと接することが、以前よりもはるかに容易になったと語る(多くの研究が示唆する結果とは反対だが)。「あらゆるCMOは、顧客エンゲージメントについて話したいと考えるCEOと、携帯電話一つですぐに話せる関係」なのだとか。「CMOにはマーケティングの四方にある壁を越えて、顧客エンゲージメントを真の意味で構築できる機会があるのです」

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:田崎亮子)

来週と再来週は、ニュースレターの発行をお休みさせていただきます。

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