David Blecken
2017年11月09日

他エージェンシーも買収のターゲットに? ADK買収劇が示唆するもの

ベインキャピタルは、ADKのTOB成立に自信を見せる。

ベインキャピタルのマネージングディレクター、デイビッド・グロスロー氏
ベインキャピタルのマネージングディレクター、デイビッド・グロスロー氏

ベインキャピタルは今週、アサツーディ・ケイに対して実施している株式公開買付け(TOB)の期間を11月21日まで延長すると発表した。当初の期限は11月15日だったが、ADKによる提携解消の動きは契約違反だとして、WPPが法的手続をとっていた

ベインのマネージングディレクター、デイビッド・グロスロー氏は11月7日発表の声明の中で、公開買付価格は1株あたり3660円から変更する考えは無いことを表明。また、「別の公開買付が今後発生する可能性は低いと考えます」とも述べている。

「広告業界はグローバルに大きく変化しており、伝統的なビジネスモデルは危機に直面しています」とグラスロー氏。競争力を保つためには迅速な行動が重要であり、「非上場化はADKがこの変動する環境の中でポテンシャルを発揮するための唯一の現実的な選択肢」とのことだ。

同氏のコメントが示唆するのは、広告業界が激変する中で、今後投資ファンドがマーケティングサービス業界をターゲットとする可能性があることだ。WPPの2017年の業績は、大手クライアントによる予算削減や、急成長を続けるグーグルやフェイスブックなどのプラットフォームと同社事業が競合していることが影響し、横ばいとなる見通し。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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