David Blecken
2017年7月10日

違法残業事件で、電通に罰金刑か

2015年に起きた新入社員の過労自殺で、当時の上司など複数の幹部は起訴猶予に。電通は過重労働の根絶を改めて誓った。

違法残業事件で、電通に罰金刑か

新入社員だった高橋まつりさんの自殺を捜査していた東京地方検察庁が、電通を略式起訴した。

各社報道によると、同社は労働基準法違反の罪で罰金刑を求められた。だが、書類送検された電通本社・支社の複数の幹部については起訴猶予に。

Campaignの取材に対し、同社は以下のような回答を寄せている。

「弊社は労働環境の向上や仕事のプロセスの刷新、さらに人材の発掘に注力するため、数々の取り組みを進めて参る所存です。長時間労働を撲滅し、業務遂行にあたっては日本の労働法規を完璧に遵守し、社員と組織が持続的成長を遂げられるように努力致します」

現段階で、同社が具体的にどのような取り組みを行うのか定かではない。昨年は社員の深夜残業を防止するため、午後10時に全館を消灯する措置をとった。だがある業界観測筋は、「効果的な動きは期待できない」とし、「労働環境を改善するためにはより厳格な施策が必要」と述べる。

過重労働は、依然日本で差し迫ったテーマだ。昨年、この問題が電通で発覚して以来、他の広告大手でも労働慣行に関する調査が行われ、業界の「働き方改革」について活発な論議が起きた。だが、具体的な成果はほとんど出ていない。

過重労働をめぐる昨年の主な出来事は、こちらからご覧ください。

(文:デイビッド・ブレッケン   翻訳・編集:水野龍哉)

提供:
Campaign Japan

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