David Blecken
2016年11月25日

バルサの新スポンサー・楽天に影を落とす、象牙・鯨肉販売

グローバル市場での成長を目指す楽天。サイト上での象牙製品の売買を完全禁止にすれば、成長への地ならしにつながると思われるが……。

ケニアで焼却処分される、密猟者などから押収された象牙(写真:ムワンギ・キルビ/ウィキメディア・コモンズ)
ケニアで焼却処分される、密猟者などから押収された象牙(写真:ムワンギ・キルビ/ウィキメディア・コモンズ)

楽天は2億6000万米ドルの契約金で、スペインのプロサッカークラブ「FCバルセロナ」のメイン・グローバル・パートナー(ナイキも同様)となったばかりだが、同社マーケットプレイス上で絶滅危惧種の動物製品の取引が行われている点が、再び注目を集めている。

スポンサー契約締結の公表を受けて、国際環境NGOのEIA(Environmental Investigation Agency)は、楽天のサイト上での象牙製品の売買をやめさせるよう、FCバルセロナから楽天に圧力をかけることを要求したようだ。EIAはまた、楽天が2014年に鯨肉を禁止商材に指定したものの、実態としては販売を容認していると非難している。

楽天はCampaignへの文書で、マーケットプレイス上から鯨肉製品を排除するための対策を講じていると回答した。同社の広報担当者はメールで「鯨肉が出品されているとの警告を週末に受け、速やかに販売店舗に通知の上、商品を取り下げました。月曜日(11月21日)の時点で、鯨肉の販売は行われていません」と、対応状況を説明している。

一方、広報担当者から象牙の販売についてコメントを得ることはできなかった。楽天のコンプライアンス文書には、「楽天は、出店者が象牙製品の販売に関する法令上の要請を遵守していることを確保するために、厳格なコンプライアンス施策を実施しております」とあり、出店者が違法もしくは不適切な製品を販売しないよう対策を取っている旨が記載されている。

日本では鯨肉や、合法的に輸入された象牙の販売は認められている。しかし国際社会の強い反対を鑑みるに、こうした製品の販売行為は、進歩的なグローバルブランドを目指す上で足かせになる。ヤフージャパンも1月、同社が運営するオークションサイトで象牙製品の取引が続いているとの批判を受けた。これに対し同社は、ワシントン条約で国際取引が禁止された1989年よりも以前に製造された象牙製品に限り、出品を認めていると説明した。

「出店者に楽天のガイドラインや国内外の法令を遵守してもらい、出店者と消費者双方の利用者にとって健全なマーケットプレイスを維持するため、当社ではモニタリングを非常に重視しています」と楽天の広報担当者は説明する。「モニタリングプログラムの有効性や法令との適合性を常に検証し、必要に応じた改善を続けていきます」

楽天はFCバルセロナのスポンサーシップ獲得競争でアリババを退け、メイン・グローバル・パートナーと、初めてのグローバル・イノベーション・アンド・エンターテインメント・パートナーの座を射止めた。中国の国営メディアは先週、アリババがスポンサーになるとの誤報を流している。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:鎌田文子 編集:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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