David Blecken
2017年12月19日

Campaignが選ぶ2017年の作品 トップ5

カギとなったのは、明確な目的と実用性、娯楽性だ。

視覚障がい者向けのウェブサイトを開発したヤフージャパンは、選挙における情報発信のあり方を根底から問い直す
視覚障がい者向けのウェブサイトを開発したヤフージャパンは、選挙における情報発信のあり方を根底から問い直す

あらゆるブランドのクリエイティブワークに我々が求めるのは、「役立つもの」であるか、あるいは「面白いもの」であること。望ましいのは、両方を兼ね備えていることだ。もし作品に、そのどちらの要素も無いのであれば、公開前に再考することを強く促したい。

以下に挙げるのは、この1年の間に際立っていた5作品。ご賛同いただけないかもしれないが、それはそれで結構だと考えている。過去に取り上げた作品の中からこれらを選んだのは、上に述べたような「役立つ」あるいは「面白い」といった要素を兼ね備えていることが理由だ。

1. ヤフーの視覚障がい者向けウェブサイト

人々の役に立つために、大手ブランドが持てる力を活用した、すばらしい取り組みだ。電通にとっては骨の折れる仕事だっただろう。だがユーザーへの特別な配慮を、コミュニケーションに携わるすべての人々に促すこのプロジェクトが、影響力を維持し続けることを心から願う。

2. トヨタのカーシェアリング・カフェ

近頃は多くの人々が自動車の所有を望んでいないが、そのことを公認する自動車メーカーはトヨタ以外にあまりない。もちろんトヨタも、自動車の販売はしたいだろう。だがInamoto&Co.の主導で名古屋市にオープンしたこのカーシェアリングの拠点は、ブランド側でなく消費者側の視点に立ち、たとえ購入につながらなかったとしても商品を使ってもらおうという動機を与えた好例といえる。

3. アディダスの「GREEN LIGHT RUN TOKYO

アディダスはこれまでランニング愛好者たちのために、より良い走りのためのアドバイスを提供してきた。TBWA HAKUHODOによるこの企画ではさらに一歩踏み込み、テクノロジーを駆使して、都内をもっと楽しく安全に走れる機会を設けた。一回のみの開催ではあったものの、実用に結びつく企画のポテンシャルを予感させる取り組みである。

4. ダブルAの用紙による華麗なショー

役立つ作品でなければ、面白い作品であれ――。米ロックバンド「OK Go(オーケー・ゴー)」とコラボレートしたこの作品は、まさにこれを体現したものだった。作品の最後でも触れられているように、大量の紙を使ったことは事実だが、少なくともリサイクルはされている。

5. 「壁」に異議を唱えたディーゼル

グローバルに展開するブランドキャンペーンを、日本市場向けにローカライズした好例。ブランドの主張や型破りなトーンは維持しつつ、移りゆく日本社会ならではの「壁」を興味深い表現方法で描いた作品だ。

おまけ:お得な情報が自動消滅するYOOXのCM

セール情報を伝える広告は、つまらない作品になりがち。だが、グーグルが日本を含むさまざまな市場に向けて立案したこの企画は、それに当てはまらない。破壊される運命の商品を救うには15秒以内に購入するしかないというアイデアが、オンラインショッピングにあたらしい風を吹き込み、またブランディングと売上を見事に両立させている。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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