David Blecken
2017年6月12日

民泊新法に合わせ、Airbnb初のテレビCM

マスメディアを利用したキャンペーンをスタートさせたAirbnb(エアービーアンドビー)。新たな顧客層の掘り起こしを図る。

6月9日、「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が参議院本会議で可決、成立。ホームシェアリングの明確な法制化と認可を受け、Airbnbは初のテレビCMによるブランディングを開始した。

30秒間のテレビCMは、同社のグローバルなブランド・ポジショニングである「Live there(そこに住もう)」を全面的に打ち出したもの。旅先で典型的な観光客として行動するのではなく、地域社会と一体化しようと呼びかける。舞台は東京に設定、ホストとゲストとの交流や、同社だからこそ味わえるユニークな体験を紹介している。

TBWA HAKUHODOが手がけたこのキャンペーンは、同社にとって日本の主流メディアを活用した初のブランディング戦略。国内客の重要増加を狙い、首都圏や関西地方、名古屋、福岡など数々のテレビ局で放映される予定だ。更に印刷媒体やオンライン、ソーシャルメディア上でもコアとなるメッセージを発信していく。

同社は昨年、国内旅行客やホストを希望する人々を照準に、日本のホストたちの体験談を紹介する動画を公開した。

政府は年間180日を上限に、個人が旅行客に宿泊先を提供することを許可。他国の市場は日本に比べ制限が厳しく、例えばロンドンでは上限が90日となっている。観光客の急増や宿泊施設の不足で、日本はAirbnbにとって最も急速に成長する市場だ。また、ゲストから常に高い評価を得る“スーパーホスト”が数多いことでも知られている。

Campaignの視点:
シェアリングエコノミーがまだ比較的新しい概念である日本の市場で、テレビによるキャンペーンを展開することはAirbnbにとって重要なステップだ。同社は既に外国人観光客や一部の日本人の間で人気を博しているが、マスメディアを使ったブランディングは新たな顧客層への訴求を可能にする。加えて最も重要なのは、これまでホームシェアリングによるサービスの利用を躊躇してきた人々に安心感を与える点だろう。昨年、エクスペディアのマーケティング責任者がCampaignのインタビューで語ったように、ブランドが日本で幅広い信頼を得るには「今でもテレビが重要な要素」だからだ。

今週発表された2017年版の「アジアのトップ1000ブランド」から、Airbnbのランクをご覧ください

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:水野龍哉)

提供:
Campaign Japan

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