Steve Barrett
4 日前

エデルマンCEOが振り返る、カンヌライオンズ2024

今年のカンヌライオンズで数々の賞を獲得した世界最大のPRエージェンシー、エデルマン。リチャード・エデルマンCEOは「今、広告業界ではPR会社の存在感が増している」と語る。

今年のカンヌライオンズで、チタニウム・ライオンを受賞したエデルマンのチーム(写真:カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル/プレスポータル)
今年のカンヌライオンズで、チタニウム・ライオンを受賞したエデルマンのチーム(写真:カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル/プレスポータル)

* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。

世界最大のPR会社のトップを務めるリチャード・エデルマン氏は、スポットライトを浴びないことがない。ある時はプラカードを掲げたクリーン・クリエイティブス(広告業界有志によるNGO)のデモ隊にカンヌの街中で追い駆けられ、またある時はスイス・ダボスの世界経済フォーラムで高々と「トラストバロメーター」を発表。またある時はニューヨーク大学のイベントで学生デモ隊に待ち伏せされ、そしてある時はカンヌのレッドカーペットでグランプリのトロフィーを手にする……。

同社CEOとして28年目を迎えた同氏は、70歳になっても常にエネルギッシュで、ペースダウンの気配を感じさせない。

今年のカンヌライオンズでは、前半でゴリンやオグルヴィPR、ウェーバー・シャンドウィックといったPR会社が授賞式で上位を独占し、エデルマン氏はやや不満気だった。

しかし後半で自社が数々の賞を獲得すると、同氏にも大きな笑顔が戻った。受賞のためステージに上がる同氏に、グローバルチーフクリエイティブオフィサーのジュディ・ジョン氏はこう語りかけた。「リチャード、これは病みつきになるわね」。CEOは振り返って観衆を見渡し、「確かにそうだね!」と即答した。

エデルマンはDPワールド(UAE、ロジスティック)のために制作した『The Move to -15℃』でチタニウム部門のグランプリとSDGs部門のゴールド、さらに『Dove Code My Crown』と『IKEA Second-Hand Tax』で2つのゴールド、そしてハイネケンの『Bar Experience』でもゴールドを共同受賞。

また、「インディペンデント・エージェンシー・フォア・グッド」部門でも1位、「インディペンデント・エージェンシー・オブ・ザ・イヤー」と「クリエイティブ・ネットワーク」部門でも2位となり、クリエイティブやメディア、デジタル、PRといった分野の一流エージェンシーと肩を並べる成績を残した。

以前は、カンヌでPR会社が全く受賞できないことに不満を漏らしていた同氏。だが、今年はエデルマンだけで40の賞と16のトロフィーを獲得した。

「今、広告・マーケティング業界ではPR会社の存在感が高まっている」。あるポッドキャストの番組に出演したエデルマン氏はこう語った。「ウェーバーであれ、弊社であれ、ゴリンであれ、PR会社の受賞は偶然ではありません。世界はより複雑化し、政治色が強まった。求められているのは消費者とのコミュニケーションを目的にしたキャンペーンだけではなく、アクションなのです」

エデルマンの受賞作品が明確に「パーパス」を打ち出していたのに対し、楽しさやユーモアを前面に出した作品が今年のカンヌでは主流だった。エデルマン氏は「弊社もそうしたキャンペーンを制作している」とコメント。その一例として、エルトン・ジョンとeBayがパートナーシップを結んだチャリティーのためのポップアップショップを挙げた。

現在の自社の方針は、「アクション・メソッド」と表現。「『パーパス2.0』を推進することで、測定可能な利益を社会にもたらすことができる」。例えば、DPワールドは「1770万トンの二酸化炭素削減と7%のエネルギーコスト削減を実現できる」のだそう。「クリエイターやリベラルなアーティストのスキルをエンジニアのそれと合体させ、イノベーティブなインサイトを創出する。それがビジネスの効率化を促進し、結果的に環境目標を達成する。これは明らかに新しいステップです」

「ブランドはこうした手法を使って社会に積極的に参加し、政治的に分断された人々を再び1つにできる。好例が、ダヴ(Dove)やイケアのキャンペーン。横断的に機能する課題を見つけることができるのです」

「そのためには様々な政治的意見とバックグラウンドを持つ人材が企業内に必要」とも。

「PR会社は『一発屋』ではない。弊社やウェーバー、ゴリンはクリエイティブへの出資とアイデアへのコミットメントで他社と一線を画している。弊社の社員の4人に1人はクリエイティブやデジタル、ストラテジーのエキスパート。彼らへの投資が今、実を結んでいるのです」

しかし、エデルマンのクリエイターが離職する例も少なくない。DPワールドやアシックスのキャンペーンを手掛けた前EMEA共同チーフクリエイティブオフィサーのステファン、マティアスのロンゲ兄弟は独立。ロサンゼルスでグローバルエグゼクティブクリエイティブディレクターを務めていたジョーダン・アトラス氏も先週退社した。

エデルマン氏は、カンヌのレッドカーペットでロンゲ兄弟にこう語ったという。「君たちのおかげで我々は変わり、後進も育ててくれたことに感謝している」。しかし、エデルマンも彼らを変えた、と力説。「パブリシティーのアイデアを、より社会的に大きな意味を持つものへと進化させた。天才たちの代わりはそう簡単には見つからないが、彼らが次世代のリーダーたちを育ててくれることを願っています」

エデルマンの売上高は昨年、世界全体で3.7%減、米国では9.1%減と大幅に減少。6月末の決算時には、今年度の予測を「世界で1〜2%の成長」とした。「米国は今年、わずかに減収するでしょう。しかし減収傾向にあるわけではない」とエデルマン氏。確かに、今年度下半期の見通しは明るい。エデルマンの事業の45%を占めるヘルスケアとテック分野が再び活気を取り戻しつつあり、パイプラインも昨秋よりずっと豊かだ。

今年のカンヌでのエデルマンの成功は一過性のものでない −− それを示すため、来年のための作品制作はすでに始まっている。

「大きな舞台で自分の居場所があることを実感できれば、より面白いキャンペーンを作ろうというモチベーションにつながる。そして早い段階から準備を進め、勢いづいてカンヌに戻って来られるのです」

提供:
Campaign US

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