Jessica Heygate
2023年8月24日

メガプラットフォームの急回復を支えるAI搭載広告プロダクト

アナリストによると、アルファベット、アマゾン、メタは、広告プロダクトの利便性と効率性に注力したことで、第2四半期は、厳選されるマーケティング予算の獲得で有利な立場を築いていたという。

写真:Getty Images
写真:Getty Images

大手テック企業のアルファベット、アマゾン、メタは、第2四半期にパフォーマンス中心のAI搭載広告プロダクトが予想を上回る収益成長を達成したしたと報告した。アナリストたちは、効率性を優先した予算配分によって、彼らに広告費が流れた可能性があると説明する。

2023年のマーケティング予算全体は昨年より縮小すると予測されているが、特定の分野では引き続き成長が見込まれている。

2月に、北米とヨーロッパ全域で400人以上のCMOを対象に実施されたガートナーの調査によれば、収益に対するマーケティング予算の比率は、2022年の9.5%から、2023年には9.1%に減少すると予測されている。これは、2020年のコロナ禍のピークに記録した11%よりも低い。

企業のコスト削減対象は、主に人件費とエージェンシー・サービス関連コストになると予想されていた。ホールディングカンパニーのIPGS4キャピタルスタッグウェルWPPの第2四半期業績はこれを反映しており、特にテクノロジー系クライアントのマーケティング費減少が業績に影響を与えたと報告している。

だが、同時期に行われたガートナーの調査では、CMOたちは有料メディアへの予算投下を増やすつもりだと回答している。実際、グループエムとマグナの調査は、2023年のグローバル広告費が、前年の成長率よりわずかに低くなるものの、それぞれ5.9%増、4.6%増になると予測している。

また、ガートナーの調査によれば、ITおよびビジネスサービス関連企業や、消費材メーカー、小売業のCMOは有料メディアに最も多くの予算を割く予定だという。

テックプラットフォームの焦点になっているリテールメディアとeコマースは、この報告書の中でも重要な成長分野だと記載されている。

アルファベット傘下のグーグルとメタの両社は、第2四半期に、それぞれ3%と12%の広告収益成長率を達成しており、その主要因としてコマースとリテールを挙げている。第2四半期の業績は、前3四半期の軟調な結果を覆し、アナリストの期待値を上回った。

マッキンゼー・アンド・カンパニーのパートナー、エミリ・デル・グレコ氏は、リテールメディアとコネクテッドTV(CTV)がテクノロジー企業の広告需要回復に一役買っており、それは「年末まで続くだろう」と語る。

これらのテクノロジー企業の広告需要回復も、AIを活用して広告配信を最適化する、テックプラットフォームのパフォーマンス系広告プロダクトへの需要急増を引き起こした一因だと考えられる。

メタは、同社の広告プロダクトであるAdvantage+が、eコマースと小売業で広く採用されており、特に消費材(CPG)と直販(D2C)ブランドの間で注目を集めている、と述べている

グーグルの最高ビジネス責任者であるフィリップ・シンドラー氏は、同社のパフォーマンス・マックス(P-MAX)ソリューションが「収益性最優先の」小売事業者に上手く刺さったようだ、と語っている

アマゾンのCEOであるアンディ・ジャッシー氏も、同社のパフォーマンスベースの広告が「成長への最大の貢献者であり続けており」、第2四半期には、前年同期比22%の成長を達成した、と語った

ガートナーのマーケティングプラクティスのシニアアナリスト、マイク・フロガット氏は、各テックプラットフォームは、昨今の経済不況の中、より効率性を求めるマーケターの背中を押すことで利益を上げられたのだと示唆した。

「今年特に顕著に見られたトレンドの一つは、CMOたちが、効率性を高めなければならないという非常強いプレッシャーに直面しているということだ」と、フロガット氏は説明した。

経済が好調だった頃は、テックプラットフォーム大手は自社のイノベーションを誇っていたが、この1年は「いかに広告インプレッションとその価値を最大化するか」について語るようになった」とフロガット氏は言う。

「長らく彼らは、自分たちは技術会社だと言い、技術を誇ってきたが、今は収益基盤に立ち返り、メディアの取り組みを強化しようとしている」と彼は付け加えた。

PwCの米国ソフトウェアとデジタルプラットフォームのリーダーであるシージェイ・バンガー氏も、マーケターは「マーケティング費用の費用対効果(ROI)を示さなければならないという、大きなプレッシャーに晒され続けている」と述べ、賛意を示した。

「これは、あらゆる業種・業界に言えることだ。特に収益性最優先の業界には、非常によく当てはまる」と彼女は述べた。

Advantage+やパフォーマンス・マックスなどの広告プロダクトは、AIを利用することで「人では見つけられないような、ニッチなインプレッション在庫を見つけ出す」とフロガット氏は述べた。それによって全体的なCPAを下げることができている。

リソースが少なく、プラットフォーム横断のキャンペーンを計画する余裕のない中小規模の広告主の間で、これらのプロダクトは特に人気のようだ。デジタルエージェンシーのアカディアは、先月Campaign USに対して、パフォーマンス・マックスは第2四半期、中規模クライアントの全グーグル検索広告費の43%を占め、2022年第3四半期の32%から大きく増加したと明かした

投資アドバイザー、マディソン・アンド・ウォールの責任者であるブライアン・ウィーサー氏は、グーグルとメタのAI搭載広告プロダクトが、両社の第2四半期のマーケットシェア拡大に貢献した可能性は非常に高いと主張する。

「彼らはさまざまな目標に適合する広告プロダクトを持っており、その上、他の代替手段より効率よく目標を達成できると認識されている。そこにお金は流れるのだ」と彼は述べた。

ただし、他の要因も彼らの成長に影響を与えた可能性がある、と付け加えた。たとえばメタは、メタのプラットフォームを使って他国の顧客にリーチしようとする中国の広告主から、第2四半期に大きな広告予算を得た、と述べている。

テックプラットフォームは2022年の不況から予想より早く回復したが、そこにはマーケターの残予算による恩恵もあったのかもしれない。広告枠の購入に時間を要するテレビなどのメディアに比べ、これらのプラットフォームでは広告予算の投下量を容易に増やすことができるからだ、とフロガット氏は語る。

「好調の要因の一部は、これらのプラットフォームが簡単にバイイングでき、迅速にオン/オフできることなのだ。2022年末に、経済が予測されていたほど悪くないと判明したとき、恐らくマーケターはまだ多くの残予算を抱えていたのだろう」。

提供:
Campaign; 翻訳・編集:

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