Ryoko Tasaki
1 日前

世界マーケティング短信:マークルでサイバーセキュリティ事案が発生

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。

電通グループの米マークル、従業員や顧客のデータが漏洩

電通グループ傘下の米マークル(Merkle)で、サイバーセキュリティのインシデントが発生した。現・元従業員、一部のクライアントに関する情報が持ち出されたという。

同社の声明によると、「ネットワークの一部において、異常な作動を検知」したため「直ちにインシデント対応手順を開始し、予防的に特定のシステムを停止させるとともに、迅速に影響を最小限に留める措置を講じた」とのこと。詳細については調査を進めているところだが、Campaignが確認した電子メールによると、銀行口座、給与、NIナンバー(国民保険番号)、連絡先などが含まれている可能性がある。

マークルは、CXM(顧客体験マネジメント)領域に強みを持ち、電通グループが2016年、電通イージス・ネットワークを通じて同社の株式を取得した。

電通グループのAPAC事業CEOに豊田祐一氏

電通グループのAPAC事業を統括するdentsu APAC CEOに、豊田祐一氏が2026年1月1日付で就任する。

豊田氏は米カリフォルニア大学バークレー校を卒業後、電通に入社。メディア部門やビジネスプロデュース部門を経た後、インド、タイ、中国でCEO等を歴任。現在は電通グループのビジネス・トランスフォーメーション(BX)を統括するグローバル・プラクティス・プレジデントや、電通の統括執行役員(BX/グローバル)を務める。

電通グループの代表執行役 社長 グローバルCEOである五十嵐博氏は「グローバルクライアント担当、APACの主要市場でのマネジメント、グローバルおよび日本でのBX領域の責任者など、幅広い経験を積む中で、多くの実績を残しており、厳しい環境にあるAPAC事業の成長回帰と、その後の持続的成長をけん引するリーダーとして、最適な人財と言えます」とコメント。

豊田氏は「APAC事業として、またグループ全体として極めて重要なタイミングでの就任となり、身が引き締まる思い」と語る。「APAC市場は、あらゆる業界でディスラプションが起きており、かつてない変革の真っただ中にあります。熾烈な競争環境下で、私たちの多くのクライアントが事業を展開されています。ディスラプションは常にチャンスです。私たちがその変革をリードする側に立ち、クライアントの期待を超える価値を創出できるよう、世の中にまだない、dentsuならではの事業モデルを構築しながら、クライアントの持続的成長と社会の発展へ貢献していく所存です。そして、dentsu APAC事業の成長回帰と持続的成長を実現していきます」。

同社の海外事業は厳しい状況が続き、特にもっとも苦戦しているAPAC(日本を除く)の第2四半期のオーガニック成長率は前年同期比-8.9%。この夏には従業員削減が発表された他、事業の売却を模索しているとも報じられた。

豊田祐一氏

インド広告の巨匠、ピユシュ・パンディー氏が死去

インドの広告クリエイティブ界の巨匠、ピユシュ・パンディー氏が24日、70歳で亡くなった。

パンディー氏は1982年、オグルヴィに顧客サービス担当役員として入社し、6年後にクリエイティブ部門に異動。3年後にクリエイティブディレクターに昇進し、1994年にオグルヴィ・インドの取締役に就任。インドで長く愛されたキャンペーンを数々手掛け、2004年には、アジア人としては初のカンヌライオンズ審査委員長を務めた。インド広告界で初のパドマ・シュリ勲章の受章者でもある。

パンディー氏が手掛けた、接着剤ブランド「フェビコール」のCM

【お知らせ】

Campaign Asia-Pacificが主催する「エージェンシー・オブ・ザ・イヤー」のショートリスト(最終候補リスト)が発表されました。最終結果は東京、ムンバイ、上海、シンガポールで開催される授賞イベントにて発表します。詳細はこちら(英語)をご確認ください。

(文:田崎亮子)
 

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