
電通グループが14日に決算を発表し、海外事業が3地域すべてで厳しい状況が続いたことから、上期のオーガニック成長率は前年同期比-0.2%だった。通期のオーガニック成長率の予想は約1%から約0%に引き下げたが、オペレーティング・マージンは引き続き約12%を目指す。
日本市場はグループ全体で最も好調な業績を上げ、インターネット広告とビジネス・トランスフォーメーション(BX)の売上高は2桁成長を遂げた。上期のオーガニック成長率は同+5.3%で、売上総利益と調整後営業利益は過去最高に達した。
だが海外事業は依然として厳しい状況が続く。アジア太平洋(日本を除く)のオーガニック成長率は同-8.9%、米州は同-3.4%、EMEA(欧州・中東・アフリカ)は同-2.4%だった。
同社は、2027年度のオペレーティング・マージン16~17%という中期経営計画目標を達成するため、年間500億円だったコスト削減効果目標に対し、520億円削減を実現する施策を特定。海外事業に従事する従業員の約8%にあたる約3,400人の削減を計画している。
同社の代表執行役 社長 グローバルCEOの五十嵐博氏は声明で「上期実績において、日本事業は、過去最高の売上総利益と調整後営業利益を記録し、オーガニック成長率は9四半期連続でプラス、3四半期連続で5%以上の成長となりました」と発表した。「一方、海外事業は、3地域全てでマイナスのオーガニック成長が継続し、大変厳しい業績となりました」。
海外事業については「包括的かつ戦略的なパートナーシップを含めたあらゆる選択肢を検討しており、これを推進することで、企業価値向上を加速させていきます」とコメントしている。
決算発表後の質疑応答で、このパートナーシップが何を意味するのか、海外事業を他社に売却する可能性があるのかとアナリストから質問された五十嵐氏は「現時点での決定事項はない」と回答した。
「海外事業の再建、競争力の強化に取り組んでまいりました」と五十嵐氏。経営基盤の再構築、不振事業の見直しについて、しっかり進捗をしているとした上で、「現状の事業の構造や組織、資本構成を必ずしも前提や所与のものとして考えるということではなく、現在の環境や状況に合わせて大胆に検討する必要があると認識しています。そういう意味では、専門的な知見を有する外部のアドバイザーを起用しながら、検討を進めています」。
(文:田崎亮子)