Gideon Spanier
2020年12月09日

電通、海外従業員8分の1を削減へ

海外事業に携わる約6000人が削減される見通しとなった。

東京・汐留の電通本社ビル
東京・汐留の電通本社ビル

電通は構造改革の一環として、海外における従業員の12.5%を削減すると発表した。

電通インターナショナルによれば、現在の従業員数は約4万8000人。その8分の1となれば、約6000人が失職することになる。

削減の対象となる職務の数はまだ明らかではない。実施の時期は各市場によって異なるという。

コストは2年間で8億5000万ドルを計上。今年は5億4500万米ドルで、来年も3億500万ドルを計上する見込み。

コロナ禍以前の昨年、親会社の電通は赤字を計上した。今年も2年連続で赤字になる見込みだ。

今年、DDBからウェンディ・クラーク氏をCEOに迎えた電通インターナショナル(9月に電通イージス・ネットワークから商号変更)は、2年以内に160以上あるエージェンシーブランドを6つのグローバルブランドに再編成する予定。現在、同社はカラ(Carat)やアイプロスペクト、マークルといったエージェンシーを保有する。 

「この改編は、我々電通インターナショナルの収益の80%以上を上げている主要市場からまず着手します。最終的にはすべての市場で実施する」と同社スポークスパーソン。

「あわせて、各市場の法律に準拠して電通インターナショナルの総従業員の約8分の1を削減します」

同社の主要市場は、英国や米国など。

電通グループの業績は今年第3四半期、世界の6大エージェンシー持株会社(他にインターパブリック、ピュブリシスグループ、WPP、オムニコム、ハヴァス)の中で最悪だった。

電通は7日、人員削減とともに今年の収益が12〜12.5%減になるとも発表。

すでに他の大手エージェンシーも大がかりな人員削減案を発表しており、オムニコムが6100人、WPPが5000人、インターパブリックが700人を削減するとしている。

電通インターナショナルは、この人員削減が2021年末から毎年5億3300万ドルのコスト削減につながるとしている。

「電通インターナショナルのすべての活動の中心は、消費者情報。消費者に関連するエージェンシーを統合することで、クライアントには最大の利益を、我々には最大の競争優位性を生み出すでしょう」(同社スポークスパーソン)

「昨年始めた変革を加速化させ、構造をさらに簡素化することでそれを実現する。クライアントの高度な要求に応え、成長を実現するため、6つのグローバルブランドに優先的投資とリソースの集中を行います。各ブランドの特性を明確化することで、迅速性も高めていく」

「今年の上半期決算で、我々は事業の総合的見直しを発表しました。この計画に沿って他社同様、パンデミックによる損失を補填するため必要不可欠な取り組みを行っていく。また、改革を加速化させ、従業員一丸となってクライアントと密に協働していきます」

電通は2012年、英国のイージス・グループを43億ドルで買収した。これにより、電通インターナショナルの母体である電通イージス・ネットワークが設立されている。

(文:ギデオン・スパニエ 翻訳・編集:水野龍哉)

 

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