Rahul Sachitanand
2020年10月22日

2021年のCMOに関するForresterの予測、6つのポイント

激動の時代に入り、抜本的な変化が、企業目的から顧客ロイヤルティに至るすべてに影響を及ぼし、CMOたちはその存在の危機を迎えることになるかもしれない。

2021年のCMOに関するForresterの予測、6つのポイント

Forresterの新しいレポートによると、パンデミックのもたらした不確実性に満ちた市場で、最高マーケティング責任者(CMO)には激動の1年が待ち受けているという。CMOらが業務を見直し、激しい争奪戦の中でマーケティング予算をどこに投資すべきか再考している間にも、市場ではサービスの解約や乗り換えが進み、CMOの存在自体が危うなるかもしれない。

Forresterのレポートから学んだことを6つ紹介する。

1. 新しいCMO像

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がもたらした危機によって、現場から離れたところから業務を管理する時代は終わり、CMOはより実践的なアプローチを取る必要がある。また、マーケティングとカスタマーエクスペリエンスの統合に重点をおくことも期待される。Forresterのレポートでは、リード獲得作業と、購入完了後の業務を分離してきたのは、間違った考え方だったとしている。今や、そうした統一感のない戦略は危険であり、CMOは、急速に変化するマーケティングの領域をしっかり把握し、顧客ロイヤルティを急上昇させることが必要である。Forresterの予測によると、2021年はロイヤルティマーケティングとリテンションマーケティングに対する支出が30%増加するという。

2. 目的と利益のバランス

アジア太平洋地域では、2021年にBコーポレーション認証企業(社会や環境に配慮した認証企業)が500社に達する見込みだとForresterは予測している。2020年9月の394社から25%以上の増加だ。この地域で消費者の心と財布をつかんで離さないためには、目的と利益のバランスがとれた企業戦略とフレームワークを採用しなければならない。

3. カスタマーエクスペリエンスにおける計画と投資の再考

企業は2021年、カスタマーエクスペリエンス(CX)関連のテクノロジー支出は削減しながらも、実際のCX自体は向上させていく。企業はテクノロジー支出を見直し、マーケティング部門はCXツールとテクノロジーに対する投資を整理統合し、より顧客と親密になるような戦略的手法に注力する。

4. プラットフォーム戦争が激化

Amazonがサービス提供を拡大し、インドの通信大手Jio Platformsが急速に台頭しているインドでは、プラットフォーム戦争が勃発する。インドにはeコマースFlipkartや決済大手Paytmもある。大手テクノロジー企業間だけでなく、アジア太平洋地域の各所で競争が激化する。中国のeコマースではAlibaba、JD.com、Pinduoduoが競い合い、東南アジアでは技術新興企業Gojek、Grab、Shopeeが競い合う。さらに、小規模企業のエコシステム構築をめぐって、銀行、テック企業、決済企業、会計ソフト企業が競争を繰り広げる。

2021年、プラットフォーム企業はヘルスケア、消費財、製造といった消費者にとって必要不可欠なエコシステムについては、実験段階から連携の段階に移行し、旅行などの必要不可欠ではない分野からは投資を引き上げるだろう。

5. 5G時代が到来

中国は2021年、成功を収めている革新的なビジネスモデルをテストし、規模を拡大することで、通信事業者側とユーザー側の双方で5Gの展開をリードする。5Gに対応したビジネスモデルを中心に据えた画期的なアイディアが中国で登場し、いち早く追従する東南アジアの市場は2022年にその恩恵がもたらされるだろう。

6. B2Bマーケターはテクノロジーに賭ける

COVID-19のパンデミックにより、B2B領域では広告主とマーケターの双方でデジタル化の計画が加速した。広告主はデジタルチャネルにおけるエンゲージメントを好むようになっており、マーケターは新しいテクノロジーを早急に採用しなければならない。Forresterはその点を踏まえて、B2Bテクノロジー利用企業の3分の1以上が、チャットボットをエンゲージメントチャネルのトップ10に挙げると予測している。マーケターのテクノロジー依存度は高まっており、B2Bのリーダー企業の57%が、2021年会計年度はAIと自動化を使ったツールへの投資を増やすことを明らかにした。Forresterの予測によれば、2021年にはB2Bテックサプライヤーの60%がAIと自動化に対応するという。

提供:
Campaign; 翻訳・編集:

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