David Blecken
2018年4月10日

日本人の自己肯定感を高める、ダヴの試み

世界でもっとも自己肯定感が低いという日本の10代女性。彼女たちに自分の魅力に気付いてもらうことを目指した動画が公開中だ。

女性の自己肯定感を高める企画を、一貫して行ってきたユニリーバ「ダヴ」。今回は女子高生にフォーカスした。

同ブランドが、美と自己肯定感に関する調査をグローバル規模で実施したところ、自分の容姿に自信があると回答した日本の10代女性は、わずか7%。これは世界でもっとも低い数値だという。自分の容姿に自信が持てないと答えた人の、10人に5人はやりたいことを諦めたことがあり、10人に4人は病院での受診を避けたり食事制限をしているとのことだ。

ダヴはADKとともに、このテーマについて問題提起をし、女性を幅広く応援するブランドとして訴求。舞台となったのは都内の高校で、クラスメイトの目に映る自分自身の姿から、本当の魅力に気付いてほしいという思いが込められている。クラスメイトからのポジティブなコメントを聞いた後に写真撮影を行い、それを学生証の写真にした。

動画「リアルビューティーID」の日本語版は、既に285万回以上も視聴されている。同ブランドはリリース内で「この動画を通して、日本中のすべての少女たちが自分をもっと好きになれるよう、応援していきます」と表明している。

Campaignの視点:
女性が自分に自信を持てるよう、ダヴはこれまでもさまざまな企画を実施し、それがブランドイメージに結びついている。自分の説明と他人の説明に基づいて2枚の似顔絵を描いた様子を収めた動画「リアルビューティー スケッチ」は、2013年にカンヌでグランプリを受賞。以降のすべての作品が必ずしも成功だったわけではないが、今回の企画は当初のテーマの優れたバリエーションといえるだろう。日用消費財ブランドは、商品自体は他社製品との差異を打ち出しにくいかもしれないが、ブランド自体よりもずっと大きなテーマを象徴するものとして、ブランドを際立たせている好例だ。

日本で自己肯定感が低いことの原因は不明。だが他ブランドも、このテーマに対してユニークな角度から真摯に取り組めば、変革を支える存在として印象付けるチャンスがあることを、同社の調査は示唆している。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

2 日前

世界マーケティング短信:電通G、海外事業は「あらゆる選択肢を含め検討」

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

3 日前

社内改革をマッキンゼーに託した、WPP

WPPが外部に変革を委ねた −− そんな声も上がる中、「この10年で最も賢明な策かもしれない」と筆者は説く。

4 日前

ゾーラン・マムダニ氏の選挙キャンペーン、デザインの力を証明

どの政党も同じようなイメージを持たれるようになると、デザインは差別化のための数少ない手段となる。

2025年11月14日

世界マーケティング短信:IPG、統合に先立ち3200人を削減

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。