Ryoko Tasaki
2023年9月15日

世界マーケティング短信:ジャニーズ起用広告の見直しが拡大

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

ジャニーズ事務所が9月7日に開催した記者会見(写真:Getty)
ジャニーズ事務所が9月7日に開催した記者会見(写真:Getty)

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。

長年続いた性加害問題、広告が続々と打ち切りに

ジャニーズ事務所の元社長、故ジャニー喜多川氏による性加害問題を受け、同事務所のタレントを起用した広告を見直す広告主が続々と増えている。

1962年に芸能事務所を創業したジャニー喜多川氏は、2019年7月に87歳で死去した。今年3月に英BBCが性加害問題についてのドキュメンタリーを放送した後、同事務所の元所属タレントが性被害を証言。今年8月には外部専門家による再発防止特別チームが調査結果を公表した。報告書によると、古くは事務所設立以前の1950年代から性加害が行われ、「少なく見積もっても数百人の被害者がいる」という。

9月7日に事務所は約4時間にわたる記者会見を開き、ジャニー喜多川氏の姪で社長を務めた藤島ジュリー景子氏が辞任し、東山紀之氏が次期社長に就任すること、被害者救済の委員会や補償受付窓口を設置すること、事務所の名称は変更しないことなどを発表した。

ジャニーズ事務所のタレントは数々のCMに起用されてきたが、性加害問題の影響で7日に東京海上日動火災保険や日本航空が契約を打ち切り、これに多くの広告主が続いた。モスフードサービスは当初契約継続を表明していたが、一転して打ち切りを発表。P&Gジャパンは、より踏み込んだ行動計画の提示を事務所側に求め、その内容や成果に基づいて判断するとのこと。一方で、福島県はTOKIOと2021年に設置したバーチャル組織「TOKIO課」を継続する意向を明らかにしている。

相次ぐ広告主離れに対応すべく、事務所は13日に「今後1年間、広告出演並びに番組出演等で頂く出演料は全てタレント本人に支払い、芸能プロダクションとしての報酬は頂きません」と発表した。

児童性的虐待コンテンツの生成は、かつてないほど容易に

米ワシントン・ポスト紙が今年6月に報じたところによると、AIによってCSAM(児童性的虐待のコンテンツ)の生成が容易になり、増加の一途をたどっている。この問題を啓発するキャンペーンを、非営利団体「チャイルド・ファンド・インターナショナル(ChildFund International)」が公開した。

インターネットが登場してからというもの、CSAMコンテンツの作成やレビュー、レコメンデーション、シェアなどを、素性を明かすことなく簡単に行えるようになった。成人男性が幼女のふりをすることも簡単だ。「モンスターになるのに、今ほど良い時期はありません」という言葉で動画を締めくくる。制作はソーシャル・インパクトに特化したエージェンシー「ワーシー(Wrthy)」。

ユーチューブの動画広告、AIが最適化

米アルファベット社傘下のユーチューブは、広告コンテンツの最適化を支援するAIツールを発表した。話題になったクリエイティブを独自に分析したフレームワーク「ABCD」(Attention、Brand、Connect、Directの略)に基づいて学習したAIが、動画を判断して提案する。

ABCDが判断するのは「最初の5秒でブランドロゴが目立つか」「ボイスオーバーはあるか」「アスペクト比のバリエーション」「理想的な動画の尺」の4つの要素。これらの要素を満たさない場合は、ツールを使って修正も行える。

カンター(Kantar)の調査によると、ABCDをガイドラインとして作成した広告は、短期的な売上が30%増加し、長期的なブランド貢献度は17%上昇するという。

マッキャンエリクソンとクラフトの社長に青木貴志氏

マッキャンエリクソンならびにクラフト ワールドワイドの代表取締役社長に、青木貴志氏が10月1日付で就任する。マッキャン・ワールドグループの代表取締役&CEOであるジー・ワトソン氏の直属となり、アジア太平洋やグローバルのネットワークと密に連携しながら、日本のチームを率いていく。

同氏はブランディングならびにカスタマーエクスペリエンスに精通している。電通ヤング・アンド・ルビカムでキャリアをスタートさせ、ジェイ・ウォルター・トンプソン、ピュブリシス・グループ、サーチ・アンド・サーチを経て、直近ではメディアモンクスの東京オフィスでマネージングディレクターを務めた。

【お知らせ】

アジアで最も権威ある広告クリエイティブの賞「スパイクスアジア2024」は、対面でのイベント開催をシンガポールで3月13~14日に予定しています。エントリー開始は10月26日から。詳しくはこちら(英語)をご覧ください。
 

(文:田崎亮子)
 

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

2 日前

世界マーケティング短信:AI活用や外注削減でピュブリシスが好調

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

2 日前

2024年に、ピッチ後の音信不通はあり得ない

ジェームス・スワン氏はピッチへの結果を待つ間、自分たちのエージェンシーがブリーフに対応するために12,000米ドル以上のリソースを投じていることを知った。 (「ピープル・ファーストのビジネス」を自称していながら)エージェンシーに結果を知らせることを怠っているブランドのために、である。

2 日前

「ゲームに参入すべきか」の問いに答える、ディズニーのエピック投資

ブランドは「どのようにゲーム市場に参入するか?」を検討すべきだと、ゲームの広告主は考えている。

2 日前

独立系エージェンシー 日本市場のサバイバル

大手広告エージェンシーによる寡占状態が続く日本の広告市場。そんななか、小さいながら存在感を発揮する独立系エージェンシーが増えている。彼らはどのように成功を手繰り寄せているのか。