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2018年3月02日

世界マーケティング短信:WPP、PR会社の合併、サルとブランド

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

世界マーケティング短信:WPP、PR会社の合併、サルとブランド

WPP、サバイバルの鍵は「簡素化と柔軟性」

WPPのCEO、マーティン・ソレル卿は2017年の成長と収益が横ばいだったことを発表し、テクノロジーによる破壊的変革や近視眼的なマーケター、物言う投資家、プライベートエクイティなどがその要因になったと不満を述べた。「これらの悪影響はグーグルやフェイスブック、コンサルティング会社の脅威よりも甚大」。それでもWPPはこうした状況を生き抜くだろうと明言し、組織を簡素で柔軟にする戦略を今後加速化させていくという。その具体策の1つが、次のニュースになる。

PR会社合併は、業界再編の口火か

WPPは傘下のPRエージェンシー、バーソン・マーステラとコーン&ウルフを合併させ、新会社「バーソン・コーン&ウルフ」を創立した。世界42カ国に拠点を置き、4千人のスタッフを擁するネットワークの誕生となる。トップに立つのはコーン&ウルフのCEOを務めていたドナ・インペラート氏。同氏は「PRWeek」誌の取材に対し、「新会社の名前はある朝起きたときに突然思いついた」と(やや楽しげに)語った。だがこの合併は、周囲からそれほど軽やかに受け取られているわけではない。WPPをはじめマーケティングに関わる持ち株会社が受ける重圧はますます強まっている。多くの企業が競合し、比較的マージンの小さい仕事を奪い合っているからだ。この手の合併がPR・広告業界で更に起こる可能性は十分あるだろう。将来的に、グレイとジェイ・ウォルター・トンプソン(JWT)の合併などもまったくあり得ない話ではないのだ。

ユニリーバに見る、大企業のダイバーシティ推進 

スタートアップ支援を行うユニリーバのマーケティング主導型ユニット「ファンドリー」は今週、女性が率いる企業への資金援助を推し進めていくことを発表した。ユニリーバはジェンダー平等を促すために国連機関「UN Women」と提携、更に5年以内にパートナーシップを結ぶ全てのスタートアップの半数を女性主導の企業にするという。同社が外部委託した調査によると、女性が創業したスタートアップは全体の17%に過ぎず、彼女らは性差別による深刻な課題に直面している。今回の方針はユニリーバの企業ブランドにとって良いPRとなろうが、同社はそれ以上に、より良いアイデアを得るための方策とみなす。「モバイルワールドコングレス」でスピーチを行ったグローバルマーケティング担当副社長のアリーン・サントス氏は、ダイバーシティを推進することは「ベストのクリエイティビティやアイデア、イノベーションを実現するための極めて重要な手段」と語った。

バンク・オブ・アメリカに「ブランドセーフティ・オフィサー」が就任

バンク・オブ・アメリカは、デジタル環境下で直面する数多くのリスクに対処する専門職の女性を1名雇い入れた(名前はまだ未発表)。この女性は広告支出やROI(投資利益率)のモニタリング、顧客データの保護なども担当していく。今の平均的なマーケティング担当者は安全性や透明性の問題に取り組む能力が欠けているばかりか、それらをほとんど理解していない。そうしたことを考慮すれば、この手のポジションは今後様々な形で増えていくだろう。

広告主は、パーソナルなプライムタイムを考慮すべし

インタラクティブ・アドバタイジング・ビューロー(IAB)が米国で行ったコンテンツ消費に関する新たな調査で、従来の広告主の概念を覆す結果が出た。1日の特定時間帯に多くの人々がメディアを利用するとされる「プライムタイム」が、大きく変わったというのだ。3世代に及ぶ約2千人を対象に行われた調査で、ソーシャルメディアユーザーの71%は1日に何度も、おおよそ同じ程度の時間を費やしてソーシャルメディアにアクセスすることが分かった。更にニュースやショー番組、ビデオなどの視聴に関しても同じような結果が判明。これは「従来的なプライムタイムの考え方を無意味なものにする」とIAB。アナ・ベイガーIAB上級代表は、「ビッグデータの時代に広告主が大きな数字を重視することは、もう意味がないのです」。広告主は、リーチしようとする消費者をピンポイントで特定するデータを利用していく時代なのだ。

「女性にスコッチを」 ジョニーウォーカーの戦略

ウイスキー愛飲家なら誰もが、シルクハットを被って大股に歩くジョニーウォーカーのキャラクターをご存知だろう。米国で、その「彼」に女性の相方が登場した。「女性がスコッチウイスキーに少しでも親近感を抱けるよう」(ブルームバーグ)、ディアジオ社は女性向けに「ジェーンウォーカー」を発売。ユニリーバ同様、ディアジオもジェンダー平等の推進に熱心で、この取り組みもその一環になる。今年後半には、取締役会の男女比を同等にすることも公約。果たしてジェーンウォーカーが売上に貢献するのか、そして男性に偏った他ブランドがディアジオに追随するのか、興味深いところだ。もしそうであれば、鍵となるのは「繊細さ」だろう。ブランディングをただ女性のために加工し直すのではなく、より包括的で、男性と同じく女性にとっても意義あるアプローチをすることが欠かせない。

サルが好む、セクシーな広告

人間同様、サルもセクシーなイメージやセレブリティを使った広告を好むようだ。米国有数のビジネススクールから集まったリサーチャーたちが、いくつかのブランドのロゴをサルの性器やボスザルのイメージと結びつけてサルに見せる実験をした。すると後日、サルは特徴のないぼやけたイメージと一緒にした他のブランドの中から、これらのロゴを選び出したという。リサーチャーはこの調査による結論を下していないが、人間の似かよった反応は進化論的に解明するのがよいのかもしれない。

経歴詐称が最もひどいのは、マーケター

仕事検索エンジン「アドズナ(Adzuna)」が英国で行った調査で、マーケティング専門家の50%が自分の技能や経験に関し履歴書上で嘘をついたことがあるという結果が出た。10ある職業分野の中で、嘘をついた人間が最も多かったのはマーケティング・広告業界。27%は「夢の仕事を実現させるためなら大嘘をつくこともいとわない」とし、82%は「ついた嘘がバレなかった」と告白。果たして日本人ならば、このような嘘をつくだろうか? その可能性は低いだろうが、まったくあり得ない話でもないだろう。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:水野龍哉)

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