Misaki Tsuchiyama
2016年10月19日

ADK、領域拡大を視野にコンサルティング会社を設立

ADKがコンサル会社を設立、潜在顧客の視認化からクリエイティブ運用までワンストップで対応する。

本松慎二郎氏
本松慎二郎氏

「代理店から、さらにはコンサルティング会社まで」という業界の流れに、2016年9月5日、アサツー ディ・ケイ(以下、ADK)も加わった。代表取締役はアクセンチュア出身の本松慎二郎氏が務めるマーケティング・コンサルティング領域における新会社「アブソルートワン(Absolute one)」の設立である。

既に多くの会社が取り組んでいる潜在顧客の視認化、バナーの効率化をベースにしたサービスで、新たな会社を設立する意味があるのか。この質問に対し本松氏は、2015年にリリースした「Absolute one」(ABテストでクリエイティブの最適化を目指すクラウドサービス)の反響が高く、クライアント側からはDNP導入、メディア、クリエイティブマネジメントまでワンストップで任せたいという要望があったと語る。広告会社としても、メディアを通した関係性以上に、バナーの獲得効率を上げるマーケティングパートナーとしての将来には可能性を感じています。これを機会に、散在していた社内のコンサル領域の人材やノウハウを的確に蓄積することが、事業領域拡大につながっていくと考えています」

導入ブランドはアプリやオンラインカードなどが中心で、ダイレクト商材での活用以上に、オンラインサービス商材での広がりを見せている。サービスは部分的にも全体的にも導入が可能で、課題整理、DNP導入、ADKの100%子会社「アクシバル」のユーザープロファイル技術を活用した戦略立案、実施までを行う。実施に至るまでの期間は約1カ月、最短でも2週間が必要。導入後に20%の獲得効率向上を見せたブランドもあったという。

クライアント側のマーケターにとっては、データからクリエイティブ、レポーティングまでを一社に任せられれば管理がしやすく業務効率化につながる。広告会社側としてもコンサルティングを主にした別会社としたことで、メディアに縛られず、ツールの挿入やタイムフィーでのコンサルティング、新規クライアントの獲得を身軽に目指していけるのは強みだと本松氏は話す。

しかし、ダイレクト領域の会社が長年にわたり知見を蓄積してきているこの領域は、既に多くのデータ解析ツールやサービスが乱立している。そのような中で他社と差別化しながら、現在提供するサービスを軸にマーケティング・コンサルティング会社としてどう拡大していくのかは、設立間もないこともありまだ未知数だ。「コンサルティング」×「データ解析」というこの大きな流れが、広告会社の事業拡大に明るい光となるのか。これからの展開に委ねられる。

(文:土山美咲 編集:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

1 日前

世界マーケティング短信:WPPのエゼキエルCMO、ピュブリシスへ

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

3 日前

カンヌライオンズのケースフィルムを廃止すべき理由

DM9のスキャンダルは、単なるAIの問題ではない。キャンペーンの成果そのものでなく、その見せ方を評価するという時代遅れの慣習が露呈したのだ。

3 日前

エージェンシーとクライアントの「夫婦療法」

クライアントとの関係に不安を抱くエージェンシーは、すぐに話し合いを始めるべき −− 強固な信頼関係は端から有り得ない、とコンサルティング会社トップは語る。

2025年7月25日

世界マーケティング短信:アセンブリーとADK GLOBALが合併

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。