Kathryn Luttner
2017年4月05日

周年記念広告で自ら笑いを取った、ナイキの自信

スニーカー「エアマックス 1」の米国での誕生30周年を記念し、ナイキはアヴァ ・ニルイ氏とアレックス ・リー氏の2人のアーティストを起用し、不可思議で独創的な作品を作った。

ナイキは毎年3月26日、「エアマックスデー」として知られる24時間販促キャンペーンを展開している。今年はユーモアがあり、アートともいえる広告キャンペーンを展開した。

この広告はまず雑誌「Dazed(デイズド)」に掲載され、次にスニーカーやファッションのブログで取り上げられた。それぞれの広告には、新たなコンセプトのデザインをエアマックスに施した写真をフィーチャー。コピーには、1990年代の印刷媒体でのキャンペーンを模した、太いフォントを使用した。ニルイ氏はデイズド誌のインタビューで、このプロジェクトはナイキと1年間にわたる話し合いを重ねてきたものだと明かした。

「アヴァも私もブラックユーモアを好みますし、何ごとも真面目に捉え過ぎないというスタンスなんです」。同誌のインタビューでリー氏はこう語る。「つまるところ、私たちが相手にするのはナイキのスニーカー。たとえフェイクの広告であっても、昔ながらのエアマックスの広告のように、パンチの効いた楽しいものを作りたいと思いました」

例えば「Nike Food Processair」は、エアマックス97が有刺鉄線をまとい、釘が打ち込まれ、かみそりの刃が刺さっているという、いわば「自己防衛シューズ」だ。添えられたコピーも、靴に負けず劣らずユニークだ。

ニルイ氏の説明はこうだ。「確かに私たちの作品の中には、今世界で起きているかもしれないことを示唆したものもあります。でも、だからといって私たちの意見を、皆さんに押しつけていいとは思っていません。作品に込められたメッセージはどれもとても謎めいていて、さまざまな解釈ができるもの。メッセージが伝わったらそれでいいし、伝わらなくてもいいのです」

(文:キャスリン・ ラットナー 編集:田崎亮子)

提供:
Campaign US

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