David Blecken
2017年11月30日

紙の可能性を最大限に引き出した、コピー用紙ブランドと「OK Go」のコラボ動画

A4サイズのコピー用紙は、人々が思っているよりも可能性を秘めている。

プリンターに入っている用紙のことなんて、今までそんなに意識したこともないという人がほとんどだろう。しかし、タイを本拠地とする世界的な製紙会社「ダブルA」が主張したいのは、「全ての紙は同じように作られているわけではない」というメッセージだ。

そこでダブルA社は、米ロックバンド「OK Go(オーケー・ゴー)」とコラボレート。博報堂傘下のクリエイティブエージェンシー「SIX」、真鍋大度氏(メディアアーティスト)、MIKIKO氏(演出振付家)らと共に、世界初の「ペーパー・マッピング・プロジェクト」を実施。映像制作はAOI Pro.が担当した。

博報堂によると、この作品ではオーケー・ゴーの楽曲「Obsession」と、ダブルA社の「obsession for smoothness(スムーズさへのこだわり)」とを掛け合わせている。演奏するメンバーたちの背後には、567台ものプリンターが積み上げられており、そこから出力される色とりどりの用紙が、息をのむような背景を作り出す。SIXのクリエイティブディレクター、斉藤迅氏はメイキング映像の中で「ダブルAの紙がスムーズだったため、このアイデアを思いついた」と話している。



実際にダブルAの用紙は、2年半におよぶ制作期間の間、一度も紙詰まりを起こさなかったのだとか。オーケー・ゴーはテスト撮影やリハーサル、本番の撮影のため何度も来日。次々と紙を出力するプリンターの前でゆっくりと動き、その様子を撮影し早回しすることで、リズミカルな動画へと仕上げている。

使用された紙は全てリサイクルされ、その収益は環境NGO「グリーンピース」へと寄付された。

Campaignの視点:
素晴らしいの一語に尽きる作品だ。シンプルなアイデアを、途方もない労力をかけて制作しながら、簡単そうに見せている。このデジタル全盛の時代に、実写映像の価値にもあらためて気付かせてくれる。製紙会社がこれほど楽しい作品を制作支援できたのだ。どんなメーカーの、一見すると面白みのなさそうな商品であっても、全力を傾け、才能ある人材が自由な発想で制作できるよう環境を整えれば、心をつかむ作品づくりは可能なのだということを、我々に教えてくれる。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

3 日前

世界マーケティング短信:波乱に満ちた東京2020大会、いよいよ開幕

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

4 日前

2021年「アジアのトップ1000ブランド」

Campaign Asia-Pacificが毎年、ニールセンIQ社と共同で行う消費者調査「アジアのトップ1000ブランド」。18回目となる今年は、ランクインしたアジア発のブランドが史上最多となった。

4 日前

B2Bの合理性とB2Cのクリエイティビティの融合とは

ブランドは、これまで以上に顧客を動かすものを明らかにし、適切な人々に最適なコンテンツを開発して、そのコンテンツを適切な時間と場所で提供し続ける必要があると、VCCPのB2B担当者は指摘する。

4 日前

APACのブランドセーフティ指標が大きく改善:ダブルベリファイ調査

ダブルベリファイの調査によれば、APACではモバイルアプリ広告の品質も向上している。また、アドフラウドが減少し、動画広告のビューアビリティが向上したことも確認された。ただし、ディスプレイ広告のビューアビリティはやや低下している。